内覧 ?のときなどで買主と立ち会ったとき、買主からこのように質問されることがあります。
「なぜ売却することになったのですか?」
そう、買主からすると「売却の理由」が気になるのです。
特に、築浅の物件など、まだ少ししか住んでいない家が売られているとなると、買主はその理由を知りたくなります。
当然、買主も買って損をするのはいやですから、売却の理由を聞いたうえで購入に踏み込みたいわけです。
「買っても大丈夫か?」を判断する基準のひとつに、売却理由があるわけです。
そこで売主にとって問題になるのが、「どこまで理由を伝えるべきか」ということです。
売却の理由は人それぞれでしょうが、他人に言いたくない理由もあるでしょう。
また、正直に言うことによってドン引きされ、買ってくれなくなるんじゃないか・・・?という心配も。
買主に理由を聞かれたとき、どこまで伝えるべきなのでしょうか?どんな理由なら伝えるべきなのでしょうか?
ここでは、買主に伝えるべき売却理由について説明します。
瑕疵に該当する場合は伝えないといけない
まず前提として、その理由が「瑕疵(かし)」に該当する場合、必ず買主に伝えなければいけません。
瑕疵とは、「家の欠陥やキズ」のことを指します。単純に物理的なキズだけではなく、環境によるものも瑕疵に含まれます。
瑕疵がある状態で売却すると、次に住むことになる買主が不利益を被ってしまいます。
瑕疵がある場合は、買主から売却の理由を求めらていなくても、必ず伝える必要があります。
説明しないと損害賠償や契約解除を食らうことになる
もし、買主にとって不利益になる事実を伝えずに引き渡し、住んでから損害が発覚した場合は、損害賠償を請求されることになります。
損害賠償に対応できない場合や瑕疵の程度がひどい場合は、買主によって契約解除をされることにもなります。
買主との間で売買契約を結ぶ際には、瑕疵担保責任 ?というものを売主が負うことになります。
これにより、瑕疵が発覚しても買主は損害から免れられることになるのです。
たとえば、「雨漏りがする」というのは瑕疵に該当しますが、これが理由で売却したいと思った場合、明らかに次に住む人にも被害を与えることは明白ですよね。
それを知らされずに買った人からしたら、たまったものではありません。自分にはまったく落ち度はないのですから、前の居住者である売主が責任をとるのは当然です。
買主に伝えるべきとされている売却理由
買主に伝えるべき理由、つまり「瑕疵」に該当する理由はおもに次のようなものです。
- シロアリ
- 雨漏り
- 壁が薄い
- すきま風
- 柱が傾いている
- 配管の問題
- 地盤沈下
- 工場などの騒音
- 高速道路や線路の騒音
- 異臭
- 暴力団の事務所がある
- 日照
- 眺望
- 自殺
- 他殺
- 近隣トラブル
物理的な瑕疵がなくても、買主が買うことをためらうような「心理的瑕疵」と呼ばれる瑕疵がある物件もあります。
たとえば、自殺や他殺が起こったことがある物件です。このような物件を「事故物件」といいます。

このあたりは線引きが難しいですが、たとえば「近所付き合いがうまくいかなかった」「人間関係がもつれた」という理由であれば、瑕疵に該当しません。
ところが、「隣の家が大きい音を出す」とか、それが原因でトラブルに見舞われたという場合は、次に住む人も同じような被害を受ける可能性があります。
このような場合は瑕疵に該当すると判断することになります。

買主に伝えなくても問題にならない売却理由
では次に、買主に伝えなくてもいい売却理由、つまり「瑕疵に該当しない売却理由」を説明しましょう。
たとえば、以下のようなものが挙げられます。
- 転勤
- 出産
- 実家に帰省
- 離婚
「家を買った直後に転勤が決まった」せいで、通勤の都合などの理由によって住み替えをする場合もあるでしょう。
また、「家を買った直後に子供が産まれた」ので、もっと広い家に住む必要が生じた、という場合もありますよね。
このような理由は瑕疵に該当しませんし、買主に伝えなくても問題になりません。
離婚が売却理由であることを言いたくない場合は「家庭の事情で・・・」などと伝えればいいでしょう。
また、正直に伝えたとしても、買主にネガティブな印象を与えることもないので、成約の妨げになることもありません。
信頼できる不動産会社に相談する
これまで説明してきたことをおさらいしておきましょう。
- 瑕疵に該当する場合は、必ず伝えなければいけない
- 瑕疵に該当しない場合は、伝えなくても良い
買主に売却理由を伝えるべきかどうかは「瑕疵に該当するか」で決まります。
ですが、実際には売却理由が「瑕疵に該当するかどうか」の線引きは難しい部分もあります。
特に新築や築浅での売却となると、買主が売却理由について疑問を持つ傾向が多く、売主としては売却理由を細かく質問されることを想定しておかなければいけません。
売却の理由をどこまで伝えるべきかは、売主がひとりで考え込む必要はありません。
不動産会社の担当者に相談しておきましょう。そのためには、買主には言いたくない売却理由であっても、担当者には洗いざらい伝えておくべきです。
どんなことで悩んでいるかをぶつけることによって、売却までの最善策を提示してくれるでしょう。
不動産会社の中には、売主の話に耳を傾けてくれない会社もあります。
そんな会社と手を組んでしまわないように、不動産会社選びの時点から気を配りましょう。
- 売り主の立場に立ってくれる
- 売買を得意とする
- 営業マンのスキルが高く、対応が良い
詳細はこちらの記事をごらんください。

この3つの条件を満たしたうえで、なおかつ、自分の売却理由と同じ売却理由の事例を扱ったことがある会社であれば、鬼に金棒です。