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最初から「離婚する」ってわかってたなら、マイホームなんて建てるんじゃなかった・・・。
せっかく二人でローンを組んで建てた、念願のマイホーム。まさか、それが「離婚の際の悩みの種」になってしまうとは思ってもいなかったのではないでしょうか?
ここでは、新築の家がある状態で離婚した場合の家をどうすれば良いのかについて紹介します。
目次
新築離婚で考えるべきこと
- 新築の家を売るべきか?
- 新築の家にどちらかが住み続けるべきか?
新築を持った状態で離婚するとなると、この二つのどちらかを選ばないといけません。
どっちを選ぶにしても、リスクは伴います。大事なのは、それぞれのリスクを理解し、納得した上で選択することです。
ここでは、「新築の家を売るべきか住み続けるべきか」を決める上で考えないといけないことについてまとめました。
- 家を売ったお金でローンを返済できるかどうか
- 連帯保証人の問題
- 家の名義の問題
- 住宅ローンの名義の問題
順にみていきましょう。
新築を売却する場合
心機一転、離婚と同時に家も売り払ってリスタートしたい! | ![]() |
離婚にともなって新築を売る場合に考えないといけないことは、
- 家を売ったお金でローンを返済できるかどうか
ということです。ここさえクリアできればオッケーです。
家を売ったお金でローンを返済できるかどうか
ローンがたくさん残っていたとしても、そのローンの額よりも高く売ることができれば問題ありません。
売却によってローンを完済できるかどうかは、次の式で計算することができます。
- 「ローン残債」<「売却価格」-「諸費用」
一括返済できない
- 「ローン残債」>「売却価格」-「諸費用」
たしかに、実際に売れるかどうかは売ってみないとわかりません。ですが、だいたいの売れる価格の予測をすることはできます。
- 相場をチェックする
- 不動産会社に査定をしてもらう
これらの方法で、だいたい家がどれくらいで売れるかをはじき出せば、ローンを返済できるかどうかがわかります。
計算の仕方の詳細を書いたページがありますので、参照ください。

新築に住み続ける場合
せっかく買ったのだから売るのがもったいない、住み続けたい | ![]() |
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計算した結果、高く売れなさそうだから売るのは諦めよう・・・ |
先ほどは、離婚で新築を売却する場合に考えるべきことについて紹介しました。
次は、離婚後に新築に住み続ける場合に考えるべきことについてです。
- 連帯保証人の問題
- 家の名義の問題
- 住宅ローンの名義の問題
連帯保証人の問題
「離婚と家」で起こりやすいトラブルが、連帯保証人 ?に関するものです。
夫婦のどちらかが連帯保証人になっている場合、離婚しても連帯保証人の関係が外れることはありません。
「離婚すれば連帯保証人の関係が解消される」と思って離婚することにより、その後のトラブルにつながるという例が多いのです。
たとえば、
- 夫:主債務者
- 妻:連帯保証人
という夫婦の例で考えてみましょう。
妻は離婚後に家を出て行き、夫が家に残ってローンを返済することになりました。
「もう家とは縁を切れた」と思っていた妻のもとに、ある日突然住宅ローンの一括返済の請求がきます。
その理由は、夫が経済的な理由から返済不能に陥ったためでした。
このように、連帯保証人になっていると住宅ローンの支払いができなくなってしまった夫の尻をぬぐうことになってしまうのです。
詳細についてはこちらの記事をごらんください。


家の名義の問題
家の名義が「単独名義」か「共有名義 ?」かによって、家の売りやすさが変わってきます。
家の名義というのは、「登記 ?上の所有者名義」です。
「この家が誰のものか」ということを法的に証明するために、登記簿謄本に登録するものです。
たとえば、家の名義が夫の単独名義になっている場合、夫の意向で家を売ることができます。
しかし、夫婦での「共有名義」になっている場合は、双方の同意がないと売却できないのです。
離婚に伴って家を売ろうとしたとき、家を売る前に離婚してしまって元配偶者と連絡がつかなくなってしまうと、「売りたくても売れない」という事態に陥ってしまいます。
詳細についてはこちらの記事をごらんください。

住宅ローンの名義の問題
「住宅ローンを支払っていた夫が家を出て行き、妻が家に残る」という決断をする人もいるでしょう。
この場合、「夫名義の住宅ローンを妻名義に変更しよう」としても、住宅ローンの名義は簡単に変更できません。
家の名義は登記をおこなうことによって変更することができますが、返済中の住宅ローンの名義を変更することは容易ではないのです。
詳細についてはこちらの記事をごらんください。

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「住宅ローンの名義」は「家の名義」とは別物です。混同しないように注意しましょう。 |
新築離婚で売却か住み続けるかを選ぶポイント
ここまでは、離婚時に新築の家を「売却する」「住み続ける」それぞれの問題点について書いてきました。
一覧表にまとめてみます。
家を売ったお金でローンを返済できるかどうか |
ローンの残りを一括返済できるだけの高値で売る必要がある |
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連帯保証人の問題 |
元配偶者が住宅ローンを支払えなくなったときに請求が来る |
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共有名義の問題 | 共有者である元配偶者と連絡が取れなくなった場合、家を売ることができなくなる |
住宅ローンの名義の問題 |
家に残る自分に住宅ローンの名義変更ができないため、元配偶者に支払い続けてもらう →元配偶者の支払いが滞ると、競売にかけられて強制退去させられる (自分が連帯保証人になっている場合は、支払いを請求される) |
「売却」と「住み続ける」における問題を明確にした上で、どっちを選ぶかを決めましょう。
体験談
新築の家を売りたいです。
去年、建売で新築を購入しました。住んで1年になります。
3200万円を35年ローンで組みました。あと34年分のローンがあります。
しかし、旦那とのセックスレスが理由で離婚する事になり、家を手放すことになりました。
ちなみに、セックスレスの原因は旦那です。私はセックスもしたいし、子供も欲しいと思っていましたが、旦那に10年間も拒まれ続けていました。
わたしは37歳で、出産をするタイムリミットもあり、相当な精神的苦痛を受けています。もう子供を産むのはあきらめようと思っています。
そこで質問ですが、家のローンの名義は旦那なのですが、家を売っても住宅ローンを返済できなかった場合、私にも返済の義務が発生するのでしょうか?
それとも、名義人である旦那だけが返済することになるのでしょうか?どのような手続きをするべきですか?
旦那名義の住宅ローンの返済は、2人で分けることになるの?
まずAさんの状況を整理しましょう。
- 築一年の家を売りたい
- あと34年のローンが残っている
- セックスレスで離婚になったことが理由
- 家のローンは旦那名義
そしてAさんの悩みは以下の通りです。
- ローン返済は2人で分けることになる? どのような手続きをとるべき?
ローンが残っている家を売るには、ローンを全額返済する必要があります。
現金で一括返済できない場合は、家を売却したお金で返済することが一般的です。
しかし問題は、家を売却したお金でローンを返せない場合です。そうなると、足りなかった分を現金で埋める必要があります。
その際の支払いの義務を負うのはローン名義人であるAさんの旦那さんですが、妻であるAさんにも支払いの義務があるのか?という質問です。
連帯保証人になっていれば支払いの義務がある
妻であるAさんに支払いの義務があるかどうかは、「Aさんが連帯保証人 ?になっているかどうか」で決まります。
家を売却したお金でローンを返済できなかった場合、足りなかった額を埋める責任があるのは、住宅ローンの名義人である旦那さんになります。
しかし、Aさんが連帯保証人になっている場合は、Aさんも旦那さんと共同で支払う必要が生じます。
もしAさんが連帯保証人になっていない場合は、Aさんは支払わなくても良いということになります。
離婚しても連帯保証人の責任は逃れられない
妻が旦那の連帯保証人になっている場合、離婚して夫婦の関係がなくなったとしても、連帯保証人の責任がなくなるわけではありません。
その理由は、連帯保証は夫婦間で決めたことではなく、ローンを組んだ金融機関との間で契約したことだからです。
Aさんの離婚の原因はセックスレスということですが、たとえ旦那さんのせいでセックスレスになったのだとしても、連帯保証人であることを解消することはできません。
セックスレスの原因が旦那さんであり、それによってAさんが精神的苦痛を受けたなどと認められた場合は、旦那さんに慰謝料を請求することは認められるかもしれません。
ですが、連帯保証人であることを解消することはできません。
連帯保証人を解除する方法
どうしても連帯保証人を解除したい場合は、旦那さんの親戚などに代わりに連帯保証人になってもらうという方法があります。
しかし、銀行の了承を得る必要があり、簡単におこなえるものではありません。連帯保証人に詳しい弁護士に相談することをオススメします。
家を売却したお金でローンを返せるか計算する
もしAさんが連帯保証人になっていたとしても、家を売却したお金でローンを返済できるのならなにも問題はありません。
なので、まずは「家を売却したお金でローンを返せるか」を計算してみましょう。計算するためには、
- ローン残債がいくらあるか
- 家がいくらで売れるか
を調べる必要があります。
詳細はこちらの記事をごらんください。

支払う能力がない場合は、任意売却か競売になる
「家を売却したお金でローンを返せるか」を計算した結果、もし返せないと判断した場合は、不足分を現金でまかなえるかを確認しましょう。
それでも返せなかった場合、任意売却 ?か競売のどちらかを選択することになります。
競売になってしまっては市場価格の5〜7割の価格での売却となってしまうので、少しでも高く売りたいのなら任意売却を選択するとよいでしょう。
任意売却をおこなうと、ローン残債があっても抵当権 ?を外すことができ、売却が可能になります。
ただし、ブラックリストに乗る可能性があるなどのデメリットがあることを理解したうえで選択しましょう。
まとめ
Aさんが取るべき行動は次の通りです。
- 連帯保証人になっているか確認する(住宅ローンの契約書に記載されている)
- ローン残債がいくらあるかを調べる
- 家がいくらで売れるかを調べる
- 家を売却したお金でローンを返せるか計算する
- 返せなかった場合、任意売却を検討する