持ち家を所有している夫婦が離婚をする際には、「夫か妻のどちらかが家に残る」というパターンも多いでしょう。
このときに問題になるのが、「住宅ローン」です。
たとえば、住宅ローンの名義が夫で、まだ返済中だとします。このとき「妻が家に残る」となると、ローンの名義を夫から妻に変更したいと思うでしょう。
住宅ローン | 債務者:夫 |
---|---|
家の名義 | 夫 |
離婚後の家 | 住宅ローンの名義を夫から妻に変更し、妻が住み続ける |
「家に残る人が住宅ローンを引き継いで支払っていく」というわけですね。しかし、住宅ローンの名義を変更しようとしても簡単にできないことが一般的です。
離婚をすることになったA夫さんとB子さんの例でみてみましょう。
住宅ローンの名義を夫から妻に移そうとするも・・・
離婚をすることが決まったA夫さんとB子さん。ローンを支払っているのはA夫さんです。
B子さんは連帯保証人 ?にも連帯債務者にもなっていないため、ローン返済には一切関わっていません。
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お前が出ていけよ!住宅ローンの名義は俺なんだから。 |
なんで私が出ていかないといけないのよ! | ![]() |
「住宅ローンを支払っている自分が家に残るべき」と主張するA夫さんと、「家から離れたくない」というB子さん。
家を気に入っているB子さんは、どうしても家に住み続けたいと思っています。
しかし話はまとまらず、ずっと平行線のままです。しびれを切らしたB子さんは、ある提案を持ちかけることにしました。
じゃあ、住宅ローンの名義をあなたから私に移して。私がローンを支払い続けるわ。それなら文句ないでしょ? | ![]() |
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・・・それならいいだろう。 |
妻が自分の代わりに住宅ローンを支払うことになるのであれば、文句がないA夫さん。特に、家に住み続ける理由もありません。
早速、A夫さんがお金を借りている銀行に住宅ローンの名義の変更を申し出ることにしました。
ところが・・・銀行には断られてしまいました。「変更を承ることはできません」とのこと。
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そんな・・・じゃあやっぱりオレが支払い続けないといけないのか・・・そんなわけで、オレが家に残るからな。 |
いやよ!わたしは出ていかないから! | ![]() |
話はまた振り出しに戻ってしまいました・・・。
住宅ローンの名義変更さえできれば、丸く話が収まるはずだったA夫さんとB子さん。
名義変更を銀行に断られたため、今まで通りA夫さんが住宅ローンを支払い続けることになりました。
住宅ローンの名義を変更することは、諦めるしかないのでしょうか?
住宅ローンの名義変更は難しい
基本的に銀行はローンを完済しないと名義変更に応じてくれません。
「離婚するから」という理由だけで、住宅ローンの名義を夫から妻に変更しようと思ってもできないことが一般的です。
仮に、妻が「経済的信用の高い職業に就いている」という場合は、ローンの組み直しに応じてくれる可能性があります。
また、そのような職業に就いていなくても「資金力のある保証人を立てられる」という場合にも、同様に応じてくれる可能性が高くなります。
家を出て行く夫に住宅ローンを支払い続けてもらうリスク
妻へ住宅ローンの名義変更ができないのであれば、「家を出て行くことになった夫が住宅ローンを支払い続ける」という選択肢もあります。
しかし、この場合は大きなリスクを背負うことになります。それは、夫が住宅ローンを返済できなくなったときです。
夫になんらかの問題が起き、住宅ローンの返済を滞らせてしまうと、最終的に家を差し押さえられて競売にかけられてしまうことになります。
そうなってしまうと、家に住んでいる妻は立ち退かざるを得ない状況になります。
離婚する前に家を売ってしまえばリスクがなくなる
離婚して出て行った夫が減給やリストラに会って経済的にローン返済が不可能になることもあるでしょうし、新しい相手を見つけて結婚することによってローン返済ができなくなることもあるでしょう。
「自分が住んでいない家のローンなんて支払っていられるか!」というふうに、住宅ローン返済を放棄する可能性だってあります。
このような場合にとる手段としてもっとも安全なのは「家を売る」ということです。
家を売って得られたお金で住宅ローンを返済してしまえば、問題は起こりません。
夫と妻のどちらが家に残ろうと自由ですし、差し押さえられることもなくなります。
ただし、「家を高く売れるかどうかはわからない」という問題があります。住宅ローンの残りを一括返済できるほどの値段で売れないと、ローンが残ってしまうからです。
家が高く売れるかどうかは、契約する不動産会社次第です。
離婚と家の問題についての詳細は、こちらの記事をごらんください。
