連帯保証人とは、お金を借りた借主(債務者)に問題が起きてお金を返せなくなったときに、代わりに責任を持ってお金を支払う人です。
お金を貸す貸主(債権者)からすると、貸したお金が返ってこなかったら困るわけです。
事故や病気、給料の低下、失職などの理由によって、借主が返済できなくなるという可能性があります。
もし借主にそのようなアクシデントが起こったとしても、確実にお金を回収するために借主に「連帯保証人を用意してもらう」という条件をつけて、お金を貸すのです。
保証人と連帯保証人の違い
「保証人」と「連帯保証人」を同じものだと思っている人は多いでしょうが、じつは両者には大きな違いがあります。
この違いこそが連帯保証人の特徴であり、責任の重さを表すものでもあります。
では、「保証人」との比較をもとに、「連帯保証人」の特徴を見ていきましょう。
- いきなり請求を求められても拒否できない
- 借主が返済を拒んだときにも拒否できない
- 連帯保証人が複数いても、負担額を分散できない
1.いきなり請求を求められても拒否できない
「保証人」は、貸主からいきなり返済の請求を求められたときはそれを拒否できます。
まず「主たる債務者」である借主に請求がいくべきですよね。「保証人」は、借主が破産していたり行方不明ではない限り、貸主に対して「まずは借主に請求してください」と求めることができます。
この権利を「催告の抗弁権」といいます。
ところが、「連帯保証人」にはこの「催告の抗弁権」がありません。
つまり、「連帯保証人」はいきなり自分に請求されたとしても「まずは借主に請求して!」「借主の財産を差し押さえて!」と言えないのです。
2.借主が返済を拒んだときにも拒否できない
「保証人」は、借主に返済能力があるにもかかわらず返済を拒否し、自分が請求されたときには、これを拒否できます。
貸主に対して「返済能力があるなら借主に請求してください」「借主の家を差し押さえてください」と求めることができます。
この権利を「検索の抗弁権」といいます。
ところが、「連帯保証人」にはこの「検索の抗弁権」がありません。
つまり、借主が支払いを拒否したことによって自分に請求がきた場合でも、支払わないといけません。
3.連帯保証人が複数いても、負担額を分散できない
「保証人」は、保証人の人数で負担額を分散することができます。
たとえば、借主が1000万円の債務を負っていたとしましょう。このとき、もし保証人が2人いたとすれば、保証人ひとりひとりの負担額は500万円ずつになります。
この権利を「分別の利益」といいます。
ところが、「連帯保証人」にはこの「分別の利益」がありません。
つまり、借主の債務が1000万円あって連帯保証人が2人いても、各連帯保証人の負担額は1000万円になります。
連帯保証人は借主と同じ立場
「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の3つの権利がないことにより、「連帯保証人」は「保証人」よりも責任が重いということがおわかりになったのではないでしょうか。
お金を貸すほうからすると、「保証人」よりも「連帯保証人」のほうがお金を回収しやすくなります。
なので、金融機関が住宅ローンを提供する際は「連帯保証人」をつけることを条件とするのです。
保証人 | 連帯保証人 | |
---|---|---|
催告の抗弁権 |
◯
借主を飛ばしていきなり請求された際に拒否できる |
×
借主を飛ばしていきなり請求された際に拒否できない |
検索の抗弁権 |
◯
借主が返済を拒むことによって自分が請求された際に拒否できる |
×
借主が返済を拒むことによって自分が請求された際に拒否できない |
分別の利益 |
◯
負担額を保証人の人数で分散できる |
×
負担額を連帯保証人の人数で分散できない |