ネットで賃貸物件を探していてたまに見かける「フリーレント」という言葉。これを見て「どういう意味だ?」と思ったことはありませんか?
「安く住める」らしいけど、聞きなれない言葉だしなんだか怪しそう・・・
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もし本当に家賃が安くなるのなら、利用してみたいですよね。賃貸に住むには敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用が何十万円も必要なので、浮かせられる部分は少しでも浮かせたいところ。
ここでは、フリーレントがどういうものなのか、利用する際の注意点などを交えて紹介します。
目次
フリーレントの仕組みってどうなってるの?
フリーレントは入居してから1〜3ヶ月の間の家賃を無料とする契約形態のことです。
「1ヶ月フリーレント」「2ヶ月フリーレント」といった感じで表記されています。
たとえば、家賃が7万円の賃貸マンションに2年契約で住んだ場合、2年間の賃料は7万円×24ヶ月で168万円になります。
もしこれが3ヶ月のフリーレントであれば、実質家賃を支払うのは21ヶ月分になるので、7万円×21ヶ月で147万円になります。
月々の賃料に換算し直すと、6万12500円の家賃を24回支払うのと同等の賃料ということになります。
借主からしてみれば、これだけ安くなるのであれば魅力的ですよね。同等の物件で迷っていたなら、フリーレントがついているものを選ぶでしょう。
なぜフリーレントというものが存在するのか
そんなフリーレントですが、一体なぜこのような仕組みが存在するのでしょうか?
フリーレントは借主が得するだけではありません。もちろん貸主(オーナー)にとってもメリットがあるのです。
「オーナーにとってどのようなメリットがあるのか」という視点から、フリーレントが存在する理由をみていきましょう。
理由1.空室を埋めることができる
フリーレントによってオーナーが得られる1つ目のメリットは、「少しでも早く空室を埋めることができる」ということです。
貸主からしてみれば、空室が多ければ家賃収入を得ることができません。できるだけ早く、部屋を満室にしたいわけです。
フリーレント物件にすることで借主に、賃料を下げて入居者を集める必要があるのです。
もし賃料を下げたらどうなるでしょうか?きっと、すでにその物件に住んでいる借主から不満の声が出てきますよね。
新入居者だけの家賃を安くするのは不公平です。
ですがフリーレントであれば、表面上は「同じ賃料」とすることができるので、そういった既存の入居者から不満が出ることはありません。
それでいて全体の賃料を下げることができるので、新入居者に「安く住めますよ!」というメリットを提示することができるのです。
理由2.宣伝効果が高い
フリーレント物件はふつうの物件に比べてとても数が少なく、全体の3%ほどしかありません。
フリーレント物件に住みたいと思っても希望のエリアで見つけることができない借主も多く、ますます希少性が高くなっています。
なので、「フリーレント」であるというだけでも大きな宣伝効果になるのです。
理由3.投資
フリーレントを利用する際の注意点
このように借主にとっておトクなフリーレント物件ですが、隠されたデメリット・注意点も存在します。
利用する前に、よく確認しておきましょう。
途中で解約・退会すると違約金が発生する
フリーレントで入居した人に早々と退去されてしまっては、オーナーは儲かりません。
なので、フリーレント物件では一定期間内に退去すると違約金を求められるか、フリーレント期間中の賃料を支払うことになります。
急な事情などでフリーレント期間中に退去するとなると、かえって負担が大きくなってしまう恐れもあります。
契約をする際には、違約金に関する条項をしっかりと確認しておきましょう。
共益費や管理費はフリーではない
「フリーレント物件に住めば完全に初期費用が不要になる」と思っている人がいるようですが、それは違います。
フリーレント物件で無料になるのは賃料だけであって、共益費や管理費は支払う必要があります。
完全に無料で住めると勘違いしてギリギリの生活をしていると、あとで滞納しなければいけないことにもなりかねないので注意しましょう。
家賃が割高になっている場合がある
フリーレントでおトクに見せておいて、その分家賃を釣り上げている物件も存在します。 このような物件の場合、長く住み続けるほど損をすることになってしまいます。
実例
「家賃が無料になる!」と舞い上がる前に、そもそも家賃の相場がいくらぐらいなのか?相場に対して高すぎないか?を不動産会社に尋ねてみましょう。
フリーレントにしてもらうように交渉する
その物件にフリーレントの表記がなかったとしても、交渉次第ではフリーレントに応じてくれる可能性があります。
ただし、交渉にはコツがあります。ただ闇雲にお願いしても聞き入れてくれません。
コツ1.繁忙期を避ける
フリーレントを交渉するのに適切な時期があります。それは「繁忙期以外」です。
引っ越し繁忙期の2〜4月は入居者が自然と増えるため、オーナーにとってはフリーレントにする必要性が低くなります。
引っ越しのピークがすぎた5月になると、次第に空室が増えていきます。そうなると、オーナーとしてはできるだけ空室を埋めたくなりますよね。
なので、この時期はフリーレントを承諾してもらいやすくなるというわけです。
ただし、入居のタイミングをずらしてまでフリーレントにするべきなのかどうか、よく考えましょう。
コツ2.入居の直前に交渉する
フリーレントの交渉をおこなうのに適切なタイミングは、次のうちどれでしょうか?
A.見学(内覧)に行ったとき
B.入居を申し込む直前
C.契約を交わしたあと
見学の時点でフリーレントの交渉をおこなうと、どうなるでしょうか?
オーナーからすると、本当に住んでくれるのかわからない客です。そのような客の交渉には、乗り気にならない可能性が高いです。
では、契約を交わしたあとはどうでしょうか?
契約を交わしたということは、賃料に関する事項も含めて決めたことになるので、今さらフリーレントに変更するということはできません。
残りの「入居を申し込む直前」ですが、これがもっとも交渉しやすいタイミングです。
入居する意思を見せているわけなので、空室を埋めたいオーナーとしては交渉の姿勢を見せてくれるはずです。
フリーレントが向いている人
4月から入学することになる大学生
たとえば、翌春から遠方の大学に入学したいと思っている学生。実家から通うわけにはいかないので、学校の近くで賃貸を探さないといけません。
合格発表のあとに家を探そうと思っても、その時期は不動産会社の繁忙期で予約が殺到しているかもしれません。
そんなときに便利なのがフリーレントです。
ふつうの物件であれば「申し込みをおこなった時点」から家賃が発生しますが、フリーレントは「入居の時点」からの支払いになります。
つまり、「秋のうちに申し込みを済ませておき、4月に入居してから家賃を支払う」といったことが可能なのです。
入学式の直前になって慌てて家を探すより、何ヶ月も前からゆとりを持って探したほうが、より良い物件に巡り会えるでしょう。
初期費用をおさえたい人
フリーレントの大きなメリットは、やはり「初期費用をおさえられる」というところです。
入居始めの数ヶ月の家賃が無料になるだけではなく、場合によっては次の費用まで無料になる場合があります。
敷金
礼金
仲介手数料
急な転勤や引っ越しの可能性がない人
急な引っ越しをする可能性がある人や、転職や転勤の可能性がある人にはフリーレントは向いていません。
規約で定められた期間内に出て行くと、違約金が発生するからです。
初期費用が安く済むからといって安易にフリーレント物件に住むことにより、痛手を負ってしまわないように注意しましょう。
すぐに退去してしまうのも問題ですが、その一方で何年も長く住み続ける場合も注意が必要です。
家賃が相場より高く設定されている場合は、長く住めば住むほど損をしてしまうからです。
家賃が相場より低いのであれば、長期間住んでも損はしないでしょう。