専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)とは、依頼主(売主)と仲介業者との間で結ぶ媒介契約 ?のうちの一つです。
一般媒介契約 ?、専任媒介契約 ?に比べ、売主の自由度はもっとも低くなっています。- 契約有効期間は3ヶ月以内
- 複数の仲介業者に依頼できない
- 依頼者への報告義務は1週間に1回以上
- 5営業日以内にREINS(レインズ)へ登録する義務がある
- 自己発見取引ができない
では、ひとつずつわかりやすく説明していきましょう。
目次
契約有効期間は3ヶ月以内
専属専任媒介契約は、契約有効期間が3ヶ月以内に定められています。専任媒介契約と同様に、契約を結ぶ際に期間を決める必要があります。
自動更新はできない
一般媒介契約のように自動更新ができるわけではありませんので、契約有効期間を過ぎても引き続き仲介を希望する場合は、更新をしなければいけません。
更新の作業は、書類に署名と捺印をするだけです。電話による更新も可能ですが、トラブルを起こさないためにも契約は書面に残すほうが良いでしょう。
契約有効期間を過ぎても専属専任媒介契約による仲介を希望するなら、書面による更新をおこないましょう。
3ヶ月以内なら自由に設定できる
たとえば、「まずはその仲介業者がどのような活動をおこなってくれるのかをチェックしたい」というのなら、3ヶ月にすると長いかも知れません。
契約有効期間を1ヶ月に設定し、「1ヶ月様子を見て、熱心に売却活動をおこなってくれる業者だとわかれば更新。そうじゃなければ他の仲介業者に依頼する」というような計画を立てることも可能です。
また、「業者は変えずに、2ヶ月目からは一般媒介契約に切り替える」という戦略もありです。
中途解約はできるが注意が必要
契約を途中で解約する「中途解約」は可能です。違約金なども発生することはありません。
ですが、契約期間中に仲介業者が負担した広告費などを、まれに請求される場合があります。
また、依頼主の都合による一方的な解約をおこなうと、費用が発生する場合があります。
(媒介契約の解約について リンク)
複数の仲介業者に依頼できない
専属専任媒介契約は、1社と結ぶことしかできません。専任媒介契約と同じです。仲介の「掛け持ち」が認められているのは、一般媒介契約だけです。
専属専任媒介契約を結ぶと、他の業者に同時に依頼することはできなくなりますが、その分、仲介業者の取り組みは濃くなる傾向にあります。
仲介業者の立場になって考えてみましょう。次のうち、どちらのお客さんを応援したいですか?
A.自社以外にも、複数の仲介業者と契約を結んでいる。他の業者が見つけた買主と、売買が成立する可能性がある。
B.自社だけと契約を結んでいる。自社で見つけた買主としか、売買が成立することはない。
仲介業者からすると、広告費をかけ、熱心に売却活動をおこなったのに、最終的には他の仲介業者(ライバル)に買主を見つけられては、努力が報われません。コストだけがかかり、報酬がもらえないのですから。
掛け持ちをしている依頼主というのは、そのようなお客さんです。仲介業者はそんな依頼主の物件を売るために、最初からコストをかけようとも思わないし、熱心に買主を探そうとも思わないでしょう。
逆に、1社としか契約できない専属専任媒介契約を結んでくれた依頼主に対しては、熱が入るはずです。ライバルに持って行かれる可能性もなく、買主を探して売買を成立させれば、仲介手数料がいただけるのですから。
依頼者への報告義務は1週間に1回以上
専属専任媒介契約を結んだ場合、仲介業者は売却活動の報告を依頼主におこなわなければいけません。
チラシの作成と配布、ホームページやポータルサイト ?への掲載、購入希望者からの問い合わせの有無などの状況が、仲介業者から報告されます。
依頼者への報告の頻度は「1週間に1回以上」となっています。「2週間に1回以上」の専任媒介契約と比べても手厚いサービスとなっています。
こちらから催促をしなくても報告がもらえるというのは、ありがたいですね。特に忙しくて時間がない人には重宝することでしょう。
5営業日以内にREINS(レインズ)へ登録する義務がある
専属専任媒介契約を結ぶと、仲介業者はその物件の情報をREINS ?へ登録する義務を負います。
仲介業者は、専属専任媒介契約を結んだ日から5営業日以内に、物件の情報をREINSに登録しなければいけません。
ちなみに、専任媒介契約の場合は7営業日以内となっています。
REINSに登録することによって、その物件の情報を全国のREINS会員になっている不動産会社の間で共有することになります。
つまり、売りたい物件の情報をより多くの人にアプローチできるわけです。よって、売買成立までのスピードアップが期待できます。
自己発見取引ができない
自分で購入希望者を探して直接取引をすることを「自己発見取引」といいますが、専属専任媒介契約はこの自己発見取引をすることができません。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は全体的に内容がよく似ていますが、ここが大きな違いです。
買主を探すこと自体はできる
自己発見取引ができないということは、「自分で買主を探してはいけない」というわけではありません。「仲介業者を通さずに」売買をすることができないということです。
つまり、専属専任媒介を結んでいる売主が自分で買主を探すことや募集することは認められていまが、売買をする際には仲介業者を通して売買をしなければいけないということです。
まとめ
- 契約有効期間は3ヶ月以内
- 複数の仲介業者に依頼できない
- 依頼者への報告義務は1週間に1回以上
- 5営業日以内にREINSへ登録する義務がある
- 自己発見取引ができない
メリット
- REINSへの登録が義務付けられているので、物件の情報が回りやすくなる
- 1社のみとの契約になるので、売却活動に真剣に取り組んでもらえる
- 1週間に1回以上、売却活動の報告をしてもらえるので状況を把握できる
デメリット
- 解約の際には注意が必要
- 自己発見取引ができない
どのような人が選ぶべきか?
- 1社に絞ってでも、濃い取り組みをしてほしい
- 不動産売却に詳しくないので、業者にお任せしたい
- できるだけ早期に売却をしたい
- 売却活動の報告を極力マメにしてほしい
専属専任媒介契約は、3つの媒介契約の中でもっとも売主の自由度が低いですが、その代わりにもっとも手厚いサービスを受けることができます。
よく似ている専任媒介契約との違いは、
- 依頼者への報告義務の頻度
- REINSへ登録するまでの日数
- 自己発見取引ができるかどうか
の3点のみです。
「専任媒介契約より自由度が下がってでも、より濃い取り組みをしてほしい」という場合には、専属専任媒介契約を選ぶと良いでしょう。