宅地建物取引士

宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)とは、不動産の売買・賃貸の仲介(宅地建物取引業(宅建業) ?)をおこなうプロフェッショナルです。宅建士(たっけんし)と略されます。

宅地建物取引業法(宅建業法) ?に基づき定められている国家資格者です。

フドー先生
宅地建物取引士は、以前は「宅地建物取引主任者」と呼ばれていたんだ。2015年4月より改名されたんだよ。
モモコさん
なんか、宅建士とか宅建業とか、似たような言葉がたくさんあって混乱しそう。
宅地建物取引業 宅地建物取引業者 宅地建物取引士 宅地建物取引業法
略称 宅建業 宅建業者 宅建士 宅建業法
概要 「不動産業」とほぼ同じ意味 「不動産業者」とほぼ同じ意味 宅建業をおこなうプロ・資格 宅建業の適正な運営を目指すための法律

宅建士は不動産取引のプロフェッショナル

不動産の売買や賃貸はとても大きなお金が動きます。特に売買は何千万という大きな買い物になります。

一般の人にとって、このような大きな買い物をするということは一大事であり、とても慎重になります。ですが、知識も経験もないので、どうすればいいのかわからないですよね。

そのような人が安心しておこなえるように、適切なアドバイスをおこなうのが宅建士の仕事なのです。

フドー先生
詳細は後述するけど、宅建士は国家資格を取得しないとなれないんだ。

宅建士にしかできない3つの仕事

モモコさん
それは頼もしいね。で、宅建士ってどんなことをする人なの?

法律上、宅建士の資格を持つ者にしかできない「重要な3つの仕事」があります。いずれも、契約に直接関わる仕事です。

  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書 ?への記名・押印
  • 37条書面(契約書) ?への記名・捺印

重要事項の説明

不動産を買おうとする人、借りようとする人に対して、不動産に関する様々な重要事項を説明する仕事です。

モモコさん
重要事項って?

重要事項とは、たとえば手付金はいくらか、不動産の所有者は誰か、不動産の広さはどれぐらいなのか、などについての項目です。また、登記 ?についての内容も含みます。

フドー先生
お客さんが十分に納得するまで、説明する仕事なんだ。

重要事項説明書への記名・押印

先述の重要事項は、内容が広く複雑なため、口頭だけで理解することは困難です。

そこで、重要事項の内容を記載した「重要事項説明書」を作成してお客さんに渡すことになっています。

その「重要事項説明書」の内容に誤りがないかを確認し、記名・押印をおこなう仕事です。

フドー先生
宅建士の資格を持っていないと、「重要事項説明書」への記名・捺印はできないんだ。

37条書面(契約書)への記名・押印

宅建業保法により、取引が成立したあとに「37条書面(契約書)」というものをお客さんに渡すことになっています。

モモコさん
またややこしそうな名前の書面が登場した。

「37条書面(契約書)」とは、契約に関する重要な部分が書かれた書面です。その「37条書面」の内容に誤りがないかを確認し、記名・押印をおこなう仕事です。

宅建士は宅建業者の事務所に必要不可欠な存在

宅建士じゃないとこのような重要な仕事を扱うことができないため、不動産会社になくてはならない存在です。

会社が宅建業を営むためには、従業員5名に対し1名の割合で宅建士を設置することが法律により条件づけられています。

フドー先生
つまり、最低でも宅建士が1人いないと、宅建業は営めないということなんだ。
モモコさん
ということは、不動産会社の従業員の全員が宅建士とは限らないってこと?
フドー先生
そうだよ。宅建士じゃないと不動産会社で働けないってわけじゃないんだ。

5人に1名の割合で宅建士がいれば宅建業を営めるわけですが、社内に存在する宅建士が多いにこしたことはありません。

不動産業界に入ると、真っ先に宅建士の資格を取るように勧められることが多いのもこのためです。

フドー先生
また、不動産会社の雇用の際にも、宅建士の資格を持っていることを必須とすることもあるよ。
モモコさん
もし、宅建士がいなくなったらその不動産会社はどうなるの?

宅建士が規定の人数に達しなくなると、宅建業を営むことができなくなります。そのまま営業を続行すると無免許営業ということになり、罰の対象になります。

宅建士は需要が多い国家資格

モモコさん
さっき、「宅建士は国家資格を取得しないとなれない」って言ってたよね?
フドー先生
宅建士になるためには、同名の資格を取得する必要があるんだ。

難易度の高い国家資格の踏み台として

宅建士の資格は、公認会計士や行政書士などの難易度の高い国家資格の踏み台として受ける人も多いです。

モモコさん
それらの国家資格と関係あるの?
フドー先生
試験範囲が重なっている部分が多いんだよ。

それらの難易度の高い国家資格に比べるとはるかに合格しやすいと言えますが、決して簡単な試験ではありません。

それなりに勉強をする必要がありますし、暗記力も試されます。特に法律について学んだことがない人にとっては、覚えることが多くて難しいでしょう。

近年の例で言うと合格率は16%ほどです。

モモコさん
誰でも簡単に宅建士になれるわけではないんだね。
フドー先生
不動産という大きな資産の売買や貸借を扱う職業仕事を任せられるんだから、当然だよ。

知名度と活用度が高い資格

宅建士は国家資格の中でももっとも受験者の数が多い資格です。その理由は、知名度と活用度の高さにあります。

モモコさん
活用度?

宅建士の資格を持っていると、不動産業界の就職に有利になるのはもちろん、その他の業界にも需要があります。

特に、金融業界におけるニーズはとても高いです。銀行での融資をおこなう際、担保として不動産を扱うことが多いので、宅建士は人材として求められているのです。

フドー先生
そんなわけで、宅建士の資格を持っていると就職や転職にも有利になるんだ。受験者が多いのも納得だね。

まとめ

  • 宅建士は不動産取引のプロフェッショナル
  • お客さんが安心して不動産取引ができるように努める
  • 宅建士にしかできない3つの仕事がある
  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名・押印
  • 37条書面(契約書)への記名・捺印
  • 宅建士がいないと宅建業を営めない
  • 宅建士の資格を持っていると不動産会社の就職に有利
  • 宅建士は需要が多く、受験者数も多い
  • 難易度の高い国家資格の踏み台として受ける人も多い
  • 不動産業界のみならず、他の業種でも就職・転職に有利
宅地建物取引業(たくちたてものとりひきぎょう)

不動産を扱う業務の名称です。宅建業(たっけんぎょう)と略されます。

宅地建物取引業の内容
  • 不動産の売買
  • 不動産の売買の仲介・代理
  • 不動産の貸借の仲介・代理
宅地建物取引業を営む会社を宅地建物取引業者(たくちたてものとりひきぎょうしゃ)と呼びます。宅建業者(たっけんぎょうしゃ)と略されます。

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宅地建物取引業法(たくちたてものとりひきぎょうほう)

不動産取引をおこなううえで、不動産会社(宅地建物取引業者)が守らなければならない法律です。宅建業法(たっけんぎょうほう)と略されます。

不正な取引をおこなう宅建業者から消費者を守るために定められた法律です。

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重要事項説明書

取引をする不動産や取引条件に関する「重要事項」について記載された書面です。

購入予定者に対し、不動産会社は契約前に重要事項説明書を交付したうえで、重要事項についての説明をおこなう必要があります。

契約をする前に対象不動産や取引条件について十分に理解・納得することを目的としています。
37条書面

不動産取引の契約が成立したあとに、宅建業者がお客さんに交付しなければいけない書面です。

買主と売主の間で取り決めた約束事について確認しあう「契約書」です。

37条書面の交付は、宅建業法第37条の規定に基づき義務づけられています。37条書面には、宅建士による記名・押印が必要です。

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不動産登記(ふどうさんとうき)

不動産の情報や所有者の情報を、法務局が管理している「登記簿」に記載することです。

不動産登記をおこなうことにより、不動産の権利関係を法的に明らかにすることができ、不動産取引を安全におこなえるようになります。

不動産売却の際におこなう登記は、以下の通りです。

  • 所有権移転登記
  • 住所変更登記
  • 抵当権抹消登記
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