宅地建物取引業法(たくちたてものとりひきぎょうほう)とは、不動産取引をおこなううえで、宅地建物取引業者(不動産会社) ?が守らなければならない法律です。宅建業法(たっけんぎょうほう)と略されます。
宅建業法は、「宅地建物取引業(以下、宅建業) ?の適正な運営」を目指すための法律です。
宅建業とは、不動産の売買などの業務のことを指します。「不動産業」とほぼ同じ意味です。
宅地建物取引業 | 宅地建物取引業者 | 宅地建物取引士 | 宅地建物取引業法 | |
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略称 | 宅建業 | 宅建業者 | 宅建士 | 宅建業法 |
概要 | 「不動産業」とほぼ同じ意味 | 「不動産業者」とほぼ同じ意味 | 宅建業をおこなうプロ・資格 | 宅建業の適正な運営を目指すための法律 |
消費者を守るための法律
不正な取引をおこなう不動産会社(宅地建物取引業者 ?)から消費者を守り、消費者の利益を確保するために定められたのが宅建業法です。
ここで言う「消費者」というのは「不動産を買ったり売ったりする人」のことを指します。
宅建業法がなかったらどうなる?
もし宅建業法がなかったら、不動産会社は儲けを得るために、消費者(お客さん)に対して不正なことをおこなうでしょう。
物件についてきちんと説明しなかったり、不当な価格を設定したり、ウソの広告で騙したり、住宅に欠陥があるのに告げなかったりするかもしれません。
自分たちに都合が良いように好き勝手されると、消費者としてはたまりませんよね。
一般人である消費者は不動産に関する知識があまりないので、業者からすると騙そうと思えばいくらでも騙すことができるのです。
不動産会社の質を高く保つ
詳細は後述しますが、宅建業法の「免許制度」により、一定の基準を満たしていないと宅建業がおこなえないようになっているのです。
また、「業務上の規制」や「監督・罰則」を設けることにより、不正な取引を取り締まっています。
このように、宅建業法で規制することにより、不動産会社の質を高く保つことができます。知識の乏しい業者や悪質な業者は排除され、業界全体が健全化されていきます。
不動産会社のためにも必要な法律
たしかに、宅建業法は消費者を守るためにあるので、不動産会社にとっては不利な法律のように思えるかもしれません。
ですが、結果的には不動産会社のためにもなっているのです。
たとえば、宅建業法がなければ消費者は莫大な損をしてしまい、不動産業界に対して不信感を抱くようになるでしょう。
そのような人がたくさん現れたら、どうなるでしょうか。きっと不動産取引をおこなう人が減っていき、不動産業界全体が停滞してしまうでしょう。
そうなってしまっては、不動産会社の利益も出ません。存続にかかわる大きな問題です。
だから、不動産業界や不動産会社を守るためにも、宅建業法が必要なのです。消費者を守ることが不動産の流通を円滑にし、業界を活性化させるのです。
宅建業法が定めている3つのこと
さて、ここからは宅建業法の具体的な中身について触れていきましょう。
宅建業法は、大きく分けて次の3つのことを定めています。
- 免許制度
- 業務上の規制
- 監督・罰則
免許制度
不動産取引はとても大きな買い物になります。そのような不動産を取り扱う宅建業者に、誰でも簡単になれるのでは困りますよね。そのために免許制度を設けているのです。
免許制度を導入することにより、一定の資格があると認められた会社だけが宅建業を営めるようになるのです。
知識が乏しい業者や不正をおこなうような悪質な業者が宅建業者になれないように、相当厳しい条件の免許になっています。
また、免許には5年の有効期間があり、免許更新のたびに再び宅建業を営む資格があるかが試されることになります。
これにより、常に宅建業者の水準を高く保つことにつながります。
業務上の規制
宅建業者がお客さんに不利な契約を押し付けないように、さまざまな面で業務上の規制がかけられています。
主な規制の内容は以下の通りです。
すべてを詳細に解説するととても長くなるのでここでは割愛しますが、どの項目も消費者の利益を守るために大切なことばかりです。
監督・罰則
宅建業者が規則を守らなかったときのための罰則が定めれています。悪質な行為や不正な取引をおこなった場合、罰を課せられます。
- 宅建業者に対する監督処分
- 宅建士に対する監督処分
の2つがあります。
「宅建業者に対する監督処分」とは、その名の通り宅建業者、つまり会社に対する罰則です。
その内容は指示処分、業務停止処分、免許取消処分があります。
一方、「宅建士 ?に対する監督処分」とは、宅建士(宅地建物取引士)、つまり個人に対する罰則です。
その内容は指示処分、事務禁止処分、登録消除処分があります。
まとめ
- 「宅建業の適正な運営」を目指すための法律
- 簡単に言うと「消費者を守るための法律」
- 悪い不動産会社を取り締まり、消費者の利益を守る
- 免許制度や規則により、不動産会社の質を高く保つ
- 不動産取引の円滑化を促し、業界の活性化につながる
- 結果的に不動産業界や不動産会社のためにもなる
- 大きく分けると「免許制度」「業務上の規制」「監督・罰則」