宅地建物取引業法

宅地建物取引業法(たくちたてものとりひきぎょうほう)とは、不動産取引をおこなううえで、宅地建物取引業者(不動産会社) ?が守らなければならない法律です。宅建業法(たっけんぎょうほう)と略されます。

宅建業法は、「宅地建物取引業(以下、宅建業) ?の適正な運営」を目指すための法律です。

宅建業とは、不動産の売買などの業務のことを指します。「不動産業」とほぼ同じ意味です。

モモコさん
なんのこっちゃ。
フドー先生
ひと言で簡単に言い表すと、「消費者を守るための法律」だよ。
宅地建物取引業 宅地建物取引業者 宅地建物取引士 宅地建物取引業法
略称 宅建業 宅建業者 宅建士 宅建業法
概要 「不動産業」とほぼ同じ意味 「不動産業者」とほぼ同じ意味 宅建業をおこなうプロ・資格 宅建業の適正な運営を目指すための法律

消費者を守るための法律

不正な取引をおこなう不動産会社(宅地建物取引業者 ?)から消費者を守り、消費者の利益を確保するために定められたのが宅建業法です。

ここで言う「消費者」というのは「不動産を買ったり売ったりする人」のことを指します。

フドー先生
不動産会社からみた「お客さん」ってことね。

宅建業法がなかったらどうなる?

モモコさん
宅建業法がなかったら、消費者はどうなるの?

もし宅建業法がなかったら、不動産会社は儲けを得るために、消費者(お客さん)に対して不正なことをおこなうでしょう。

物件についてきちんと説明しなかったり、不当な価格を設定したり、ウソの広告で騙したり、住宅に欠陥があるのに告げなかったりするかもしれません。

自分たちに都合が良いように好き勝手されると、消費者としてはたまりませんよね。

一般人である消費者は不動産に関する知識があまりないので、業者からすると騙そうと思えばいくらでも騙すことができるのです。

モモコさん
恐ろしい!
フドー先生
そのような横暴を規制するために、宅建業法があるんだ。

不動産会社の質を高く保つ

モモコさん
宅建業法の意義はわかった。で、どのように消費者を守ってくれるの?

詳細は後述しますが、宅建業法の「免許制度」により、一定の基準を満たしていないと宅建業がおこなえないようになっているのです。

また、「業務上の規制」や「監督・罰則」を設けることにより、不正な取引を取り締まっています。

このように、宅建業法で規制することにより、不動産会社の質を高く保つことができます。知識の乏しい業者や悪質な業者は排除され、業界全体が健全化されていきます。

モモコさん
なるほど。それなら安心して不動産会社と契約できるね。

不動産会社のためにも必要な法律

モモコさん
とにかく、消費者のためにある法律なんだね。不動産会社にとっては邪魔な存在なんだろうけど。

たしかに、宅建業法は消費者を守るためにあるので、不動産会社にとっては不利な法律のように思えるかもしれません。

ですが、結果的には不動産会社のためにもなっているのです。

モモコさん
え、そうなの?

たとえば、宅建業法がなければ消費者は莫大な損をしてしまい、不動産業界に対して不信感を抱くようになるでしょう。

フドー先生
何千万円という、とても大きなお金が動く買い物だからね。

そのような人がたくさん現れたら、どうなるでしょうか。きっと不動産取引をおこなう人が減っていき、不動産業界全体が停滞してしまうでしょう。

そうなってしまっては、不動産会社の利益も出ません。存続にかかわる大きな問題です。

だから、不動産業界や不動産会社を守るためにも、宅建業法が必要なのです。消費者を守ることが不動産の流通を円滑にし、業界を活性化させるのです。

モモコさん
不動産会社と消費者、どちらにも必要な法律なんだね。

宅建業法が定めている3つのこと

さて、ここからは宅建業法の具体的な中身について触れていきましょう。

宅建業法は、大きく分けて次の3つのことを定めています。

  • 免許制度
  • 業務上の規制
  • 監督・罰則

免許制度

不動産取引はとても大きな買い物になります。そのような不動産を取り扱う宅建業者に、誰でも簡単になれるのでは困りますよね。そのために免許制度を設けているのです。

免許制度を導入することにより、一定の資格があると認められた会社だけが宅建業を営めるようになるのです。

知識が乏しい業者や不正をおこなうような悪質な業者が宅建業者になれないように、相当厳しい条件の免許になっています。

モモコさん
これは安心だね。免許を持っていれば、きちんとした会社という証だね。
フドー先生
免許を持っている会社のすべてが善良とは限らないけどね。それは当ブログで書いている通りだよ。

また、免許には5年の有効期間があり、免許更新のたびに再び宅建業を営む資格があるかが試されることになります。

これにより、常に宅建業者の水準を高く保つことにつながります。

業務上の規制

宅建業者がお客さんに不利な契約を押し付けないように、さまざまな面で業務上の規制がかけられています。

主な規制の内容は以下の通りです。

  • 媒介契約 ?について
  • 広告の規制について
  • 重要事項の説明について
  • 契約内容記載書面(37条書面 ?)について
  • クーリングオフについて
  • 業務に関する義務・制限について
  • 報酬に関する規制について
モモコさん
わ、たくさんあるね。

すべてを詳細に解説するととても長くなるのでここでは割愛しますが、どの項目も消費者の利益を守るために大切なことばかりです。

監督・罰則

宅建業者が規則を守らなかったときのための罰則が定めれています。悪質な行為や不正な取引をおこなった場合、罰を課せられます。

  • 宅建業者に対する監督処分
  • 宅建士に対する監督処分

の2つがあります。

「宅建業者に対する監督処分」とは、その名の通り宅建業者、つまり会社に対する罰則です。

その内容は指示処分、業務停止処分、免許取消処分があります。

一方、「宅建士 ?に対する監督処分」とは、宅建士(宅地建物取引士)、つまり個人に対する罰則です。

その内容は指示処分、事務禁止処分、登録消除処分があります。

モモコさん
最悪だと免許取消にもなるのか。
フドー先生
5年に一度の免許更新の手続きをしなかった場合も、免許取り消しになるんだよ。

まとめ

  • 「宅建業の適正な運営」を目指すための法律
  • 簡単に言うと「消費者を守るための法律」
  • 悪い不動産会社を取り締まり、消費者の利益を守る
  • 免許制度や規則により、不動産会社の質を高く保つ
  • 不動産取引の円滑化を促し、業界の活性化につながる
  • 結果的に不動産業界や不動産会社のためにもなる
  • 大きく分けると「免許制度」「業務上の規制」「監督・罰則」
宅地建物取引業者(たくちたてものとりひきぎょうしゃ)

宅地建物取引業(宅建業)を営む会社のことです。宅建業者(たっけんぎょうしゃ)と略されます。

「不動産業者(不動産会社)」とほぼ同じ意味です。宅建業を営むためには、国や都道府県の免許が必要です。
宅地建物取引業(たくちたてものとりひきぎょう)

不動産を扱う業務の名称です。宅建業(たっけんぎょう)と略されます。

宅地建物取引業の内容
  • 不動産の売買
  • 不動産の売買の仲介・代理
  • 不動産の貸借の仲介・代理
宅地建物取引業を営む会社を宅地建物取引業者(たくちたてものとりひきぎょうしゃ)と呼びます。宅建業者(たっけんぎょうしゃ)と略されます。

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宅地建物取引業者(たくちたてものとりひきぎょうしゃ)

宅地建物取引業(宅建業)を営む会社のことです。宅建業者(たっけんぎょうしゃ)と略されます。

「不動産業者(不動産会社)」とほぼ同じ意味です。宅建業を営むためには、国や都道府県の免許が必要です。
媒介契約(ばいかいけいやく)

依頼主(売主)が「物件を売るお手伝いをしてください」とお金を払い、仲介業者との間で結ぶ契約のことです。

媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があります。



「媒介契約」の詳細を見る
37条書面

不動産取引の契約が成立したあとに、宅建業者がお客さんに交付しなければいけない書面です。

買主と売主の間で取り決めた約束事について確認しあう「契約書」です。

37条書面の交付は、宅建業法第37条の規定に基づき義務づけられています。37条書面には、宅建士による記名・押印が必要です。

「37条書面」の詳細を見る
宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)

不動産の売買・賃貸の仲介(宅地建物取引業(宅建業))をおこなうプロフェッショナルです。宅建士(たっけんし)と略されます。

宅地建物取引業法(宅建業法)に基づき定められている国家資格者です。

宅建士にしかできない3つの仕事
  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名・押印
  • 37条書面(契約書)への記名・押印
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