不動産査定(ふどうさんさてい)とは、その物件が「いくらで売れるか」を不動産業者に予想してもらうことです。
物件のスペックや状態、過去の取引事例や市場の動きを参考にして算出します。不動産査定をおこなって算出した価格、つまり「いくらで売れるか」を予想した価格を査定価格 ?といいます。
不動産査定は一般的に、媒介契約 ?を結ぶ前に不動産業者におこなってもらいます。
不動産査定の特徴
じつは、「不動産査定で出た価格(査定価格)=売れる価格」ではありません。売れる価格を保証するものではないのです。
その理由は、「物件を買うのは不動産業者ではない」からなのです。
車査定との大きな違い
わかりやすく説明するために、車査定の例を出して比べてみましょう。
車を売ろうとするとき、中古車買取業者に査定してもらいますよね。車のスペックや車種・年式によって査定価格を出してもらいます。
車査定の場合、その車を買うのは査定をおこなった業者です。なので、「査定価格=売れる価格」なのです。業者は「◯◯◯万円で買取ります!」と、言えるわけです。
不動産査定の場合、査定をおこなった不動産業者が買うわけではありません。買うのは一般人です。その物件を欲しいと思う人を探さないといけないわけです。
不動産業者が直接買い取るわけではないので、「査定価格=売れる価格」ではなくなります。「査定価格=売れるであろう価格」なのです。
不動産業者にできることは、「これぐらいの金額なら、買ってくれる人が現れるでしょう」と予測することだけなのです。これが不動産査定です。
(比較の図を)
不動産査定の仕組み
車査定は車をチェックするだけで査定価格を出せますが、不動産査定は不動産をチェックするだけでは査定価格を出せません。
過去の取引事例や市場の動き、他にどのような物件が売り出されているか、などを調べる必要があります。
不動産査定の仕組みをわかりやすく説明するために、「査定をするときに何を見るのか」を大きく2つのグループに分けて説明しましょう。
- 物件に関連する情報
- それ以外の情報(過去の取引事例・市場の動き)
物件に関連する情報
まず1つ目は、「物件に関連する情報」です。おもに、以下のようなものが挙げられます。
- 間取り
- 築年数
- 日当たり
- 眺め
- 床や壁の傷
- 駐車場
- 自転車置き場
- 郵便受け
- エントランスやロビーの清掃状態 etc.
それに加え、周辺地域の情報も査定に影響します。
- 駅からの距離
- 治安の良さ
- 子育ての環境 etc.
それ以外の情報
1つ目は「物件に関連する情報」でしたが、2つ目は「それ以外の情報」です。
具体的には、以下のようなものです。
- 過去の取引事例
- 市場の動き
不動産の査定をする上で重要なのが、「過去の取引事例」です。同じような物件が過去にいくらで取引されたか?を調べるのです。
同じような事例の数が多ければ多いほど、査定の精度が上がります。たった1つの事例では、信ぴょう性に欠けますよね?たまたま、その値段で売れただけなのかもしれません。
それよりも10個、20個、100個の事例があるほうが、統計も取れますし信用できるデータになります。だから、事例の数は多いほうが良いのです。
そしてもうひとつ重要なのが、その事例の新しさです。事例が新しければ新しいほど、参考になります。
それは、市場の動きは常に変化しているからです。2年前は高く売れていたとしても、今も同じように売れるかどうかはわからないのです。
その地域の人気や評判、需要と供給のバランスなどによって不動産の価値は常に変化しています。そして、それによっていくらで売れるかも変わるわけです。
なので、新しい取引事例は現在の市場と特徴が近い時期におこなわれたと考えられるため、参考元としての信用度が高いのです。
- 間取り
- 築年数
- 日当たり
- 眺め
- 床や壁の傷
- 駐車場
- 自転車置き場
- 郵便受け
- エントランスやロビーの清掃状態
- 駅からの距離
- 治安の良さ
- 子育ての環境 etc.
- 過去の取引事例
- 市場の動き
2つの不動産査定の方法
物件に関連する情報を集めるときには、不動産業者が家に来ます。そして部屋の広さや状態などを細かくチェックし、物件の価値を判断します。周辺環境についてもチェックします。
この査定方法を訪問査定 ?といいます。
それ以外の情報、つまり過去の取引事例や市場の動きを調べるときには、事務的な作業だけで完結します。
なので、不動産業者が家に訪問することはありません。
この査定方法を机上査定 ?といいます。
不動産業者に査定を依頼するとき、訪問査定と机上査定のどちらかを選ぶことになります。
だいたいの価格を知りたいだけなら簡易的な机上査定で十分ですが、本格的に売却することを検討しているなら、訪問査定を選びましょう。