専任媒介契約

専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)とは、依頼主(売主)と仲介業者との間で結ぶ媒介契約 ?のうちの一つです。

一般媒介契約 ?よりも売主の自由度は下がりますが、専属専任媒介契約 ?ほど拘束されることはありません。

モモコさん
売主の自由度という点でみると、ちょうど中間ってことか。
フドー先生
そうだね。総合的にみて、もっともバランスが良い媒介契約と言えるよ。専任媒介契約の特徴はこんな感じ。
  • 契約有効期間は3ヶ月以内
  • 複数の仲介業者に依頼できない
  • 依頼者への報告義務は2週間に1回以上
  • 7営業日以内にREINSへ登録する義務がある
  • 自己発見取引ができる

では、ひとつずつわかりやすく説明していきましょう。

契約有効期間は3ヶ月以内


専任媒介契約は、契約有効期間が3ヶ月以内に定められています。一般媒介契約のように無期限というわけではなく、契約を結ぶ際に期間を決めなければいけません。

自動更新はできない

契約有効期間を過ぎたあとも継続して仲介をしてほしい場合は、更新をする必要があります。

モモコさん
更新するのを忘れたらどうなるの?知らない間に3ヶ月経ってしまって、契約が切れていた・・・なんてことが起こりそうで、不安。
フドー先生
大丈夫だよ。有効期間が過ぎる前に、仲介業者のほうから更新をするかどうかを聞かれるから、知らない間に契約が切れるということは起きないよ。

書類に署名と捺印をするだけで、簡単に更新をすることができます。電話での更新をすることも可能ですが、後々にトラブルが起きることを防ぐためにも、書類での更新が望ましいです。

引き続き、専任媒介契約による仲介を希望する際は、書類での更新をおこないましょう。

3ヶ月以内なら自由に設定できる

モモコさん
3ヶ月「以内」ということは、2ヶ月や1ヶ月や2週間を選ぶこともできるの?
フドー先生
いいところに気づいたね。できるよ。
モモコさん
でも、2ヶ月や1ヶ月を選ぶ人っているの?どうせ仲介してもらうなら、長くやってもらったほうがいいと思うんだけど。
フドー先生
それは、どのような戦略を立てるかによるんだ。

たとえば、「まずはその仲介業者がどのような売却活動をおこなってくれるのかを知りたい」といった場合は、有効期間を短めに設定したほうが良いかもしれません。

「1ヶ月だけ専任媒介契約を結んで、熱心に活動してくれるか様子を見よう。熱心じゃなさそうなら、2ヶ月目からは他の仲介業者に依頼しよう」などの戦略もありでしょう。

また、「仲介業者を変える」以外にも、「同じ仲介業者で一般媒介契約に切り替える」という選択をすることもできます。

モモコさん
なるほど。有効期間を短くすることで、こっちが動きやすくなるのか。
フドー先生
あまりにも短すぎると、その仲介業者のことを知ることができなくなるけどね。

中途解約はできるが注意が必要

モモコさん
じゃあ、3ヶ月で専任媒介契約を結んで、3ヶ月経過するまでに一般媒介契約に切り替えたくなったら、どうしたらいいの?3ヶ月経過するまでは待たないといけないの?
フドー先生
途中で解約することができるよ。でも、ちょっと注意が必要なんだよ。

解約する際に支払う費用はありませんが、それまでに仲介業者が費用をかけた広告費などを、請求される場合があります。

また、自分都合での一方的な中途解約にも費用が発生する恐れがあるので、注意しましょう。

(媒介契約の解約について リンク)

複数の仲介業者に依頼できない


専任媒介契約は、1社だけと結ぶことしかできません。複数の仲介業者と結ぶことができるのは、一般媒介契約だけです。

モモコさん
1社だけとしか契約を結べないってことは、一般媒介契約より不利ってことだね。
フドー先生
一見そのように感じるかもしれないけど、実際はそうでもないんだ。

専任媒介契約は、一般媒介契約のように仲介の「掛け持ち」をすることができない反面、一般媒介契約よりも仲介業者の熱心さが上がる傾向があります。

他の仲介業者と掛け持ちをされるということは、仲介業者にとっては嬉しいことではありません。ライバルが増えるということですから。

1社としか契約できない専任媒介契約を選んでくれた依頼主というのは、「浮気はしません」と言ってくれている存在です。

自社だけを信じ、自社だけに仲介の一切を任せてくれているお客さんです。そんな人のためなら、力を入れて売却活動をしようと思うはずです。

モモコさん
なるほど。一般媒介契約は多くの仲介業者に依頼できるけど、あまり力を入れてくれなくなるのか。
フドー先生
傾向としてはね。結果的に、一般媒介契約よりも専任媒介契約を結んだ方が早く高く売れる可能性が高いかもね。

依頼者への報告義務は2週間に1回以上


専任媒介契約には、売却活動の報告を依頼主におこなう義務があります。

広告を何枚作成して配布したか、ホームページに掲載したか、問い合わせが何件あったのかなどの状況を、仲介業者から報告してくれます。

報告の頻度は「2週間に1回以上」となっており、「1週間に1回以上」の専属専任媒介契約よりは少なくなっています。

モモコさん
売却のためにどんな動きをしてくれたのかが把握できるんだね。これは頼もしいね。
フドー先生
報告の頻度は「2週間に1回以上」だから、あまり契約期間を短くすると報告の数も少なくなるから注意だよ。

たとえば有効契約期間を1ヶ月に設定すると、報告を受けられるのは最低2回ということになります。

報告の数を増やしたいなら、有効契約期間を多くするか、専属専任媒介契約を選ぶようにしましょう。

7営業日以内にREINS(レインズ)へ登録する義務がある


専任媒介契約は、REINS ?への登録義務があります。仲介業者は、専任媒介契約を結んだ依頼主の物件を、REINSに登録しなければいけません。

専任媒介契約を結んだ日から、7営業日以内に登録することが義務付けられています。ちなみに、専属専任媒介契約の場合は、5営業日以内となっています。

モモコさん
REINSってなんのこと?
フドー先生
REINSっていうのは、物件の情報を不動産会社の間で共有するネットワークのことだよ。

売却したい物件の情報をREINSに登録することによって、全国のREINS会員になっている不動産会社にその物件の情報を伝えることができるようになります。

その結果、物件の情報がより多くの人の目にとまることになり、買主探しがスピードアップします。

売主にとっては、REINSに物件を登録できるということは大きなメリットです。

自己発見取引ができる


専任媒介契約を結んでいる場合、自分で買主を見つけることができます。自分で買主を探して取引することを、「自己発見取引」といいます。

たとえば、あなたの友人や親族に「家を売りたいんだけど、買わない?」と聞いて、買いたいという人が現れたとしましょう。

その場合、その人と直接売買をおこなうことができるわけです。

モモコさん
直接売るってことは、仲介じゃなくなるってこと?

そうです。自分で買主を探して売るということは、仲介業者の手柄じゃないので、仲介手数料 ?を支払う必要がなくなります。

もしこれが専属専任媒介契約を結んでいる場合だと、自分で見つけた買主であっても、仲介業者に仲介手数料を支払わなければいけません。

モモコさん
え、仲介業者の手柄じゃないのに?
フドー先生
この「自己発見取引ができる」という部分が、専属専任媒介契約との大きな違いだね。

まとめ

  • 契約有効期間は3ヶ月以内
  • 複数の仲介業者に依頼できない
  • 依頼者への報告義務は2週間に1回以上
  • 7営業日以内にREINSへ登録する義務がある
  • 自己発見取引ができる

メリット

  • REINSへの登録が義務付けられているので、物件の情報が回りやすくなる
  • 1社のみとの契約になるので、売却活動に真剣に取り組んでもらえる
  • 2週間に1回以上、売却活動の報告をしてもらえるので状況を把握できる
  • 自己発見取引ができる

デメリット

  • 解約の際には注意が必要

どのような人が選ぶべきか?

  • 1社に絞ってでも、濃い取り組みをしてほしい
  • 不動産売却に詳しくないので、業者にお任せしたい
  • できるだけ早期に売却をしたい
  • 売却活動の報告を自動的に受けたい
  • 自分で購入希望者を見つける可能性がある

専任媒介契約は、一般媒介契約と専属専任媒介契約の「良いところ取り」であると言えます。

「売主の自由度」「仲介業者の熱心さ」のバランスが良く、売主と買主と仲介業者にとってメリットが大きい「三方よし」の形態です。

なので、特殊なケースを除いてはこの専任媒介契約を選択することが無難であるといえます。

媒介契約(ばいかいけいやく)

依頼主(売主)が「物件を売るお手伝いをしてください」とお金を払い、仲介業者との間で結ぶ契約のことです。

媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があります。



「媒介契約」の詳細を見る
一般媒介契約(いっぱんばいかいけいやく)

依頼主(売主)と仲介業者との間で結ぶ媒介契約のうちの一つです。

専属専任媒介契約専任媒介契約と比べ、もっとも依頼主の自由度が高いことが特徴です。



「一般媒介契約」の詳細を見る
専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)

依頼主(売主)と仲介業者との間で結ぶ媒介契約のうちの一つです。

一般媒介契約専任媒介契約に比べ、売主の自由度はもっとも低くなっています。



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REINS(レインズ)

不動産会社同士が物件の情報をやりとりするための、コンピュータネットワークシステムの名称です。

売主・買主ともに、安心して不動産取引がおこなえることを目的としています。

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仲介手数料(ちゅうかいてすうりょう)

仲介業者に支払うお金のことです。

物件を売り買いするお手伝い(仲介)をしてくれたことに対する報酬として、売主や買主が支払います。

「不動産の成約価格の3%+6万円+消費税」で計算します。

仲介手数料は成功報酬のため、売買が成立しなかった場合は支払う必要はありません。

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