媒介契約

媒介契約(ばいかいけいやく)とは、依頼主(売主)が「物件を売るお手伝いをしてください」とお金を払い、仲介業者との間で結ぶ契約のことです。

仲介業者に家やマンションなどの不動産を売るお手伝い(仲介業務)を依頼するときには、媒介契約を結ぶ必要があります。

モモコさん
バイカイケイヤク。聞いたことないし、難しそうな言葉だな。
フドー先生
媒介契約は不動産を売るための最初のステップで、非常に重要なことだから是非とも理解しておこう。わかりやすく説明するから安心してね。

なぜ媒介契約を結ぶ必要があるの?

モモコさん
「物件を売るお手伝いをしてください!」ってお願いするだけじゃいけないの?なんで「媒介契約」を結ばなきゃいけないの?
フドー先生
それは、依頼主と仲介業者の間でのトラブルを防ぐためだよ。

依頼主は、仲介業者に仲介手数料 ?を支払って仲介業務をしてもらいます。タダでやってくれるわけではありませんし、何でもかんでも代行してくれるわけではありません。

仲介業者がおこなってくれるサービス内容には範囲があります。「ここからここまでは責任を持ってお手伝いします。」というふうに。それを明確にする「約束事」が、媒介契約なのです。

モモコさん
なるほど。あらかじめ約束事を決めておけば、トラブルにもならないもんね。
フドー先生
そうだね。媒介契約を結ぶことによって、依頼主と仲介業者の責任と権利がハッキリとするんだよ。

3つの媒介契約は何が違うの?

媒介契約には3つの種類があります。

  • 一般媒介契約(いっぱんばいかいけいやく) ?
  • 専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく) ?
  • 専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく) ?

依頼主はこの中から、どの媒介契約を結ぶかを選択することができます。

モモコさん
3つの媒介契約は何が違うの?
フドー先生
それぞれ、サービスの内容が少し違うんだよ。

どの媒介契約を結ぶのかによって、次のようなサービス内容に違いが生じます。

  • 契約の有効期間
  • 他業者への重ねての依頼
  • 依頼主へ業務を報告する義務
  • REINSへの登録
  • 自分発見取引

それでは、順にどのような違いがあってどのような特徴があるのかを見ていきましょう。

契約の有効期間の違い

まず、媒介契約の有効期間に違いがあります。仲介業者が物件を売るお手伝いをしてくれる期間ですね。専属専任媒介契約と専任媒介契約は3ヶ月以内、一般媒介契約は無制限となっています。

モモコさん
じゃあ、有効期間が過ぎても物件が売れなかったら、ゲームオーバー?
フドー先生
大丈夫。有効期間が過ぎた時点で更新することができるよ。ただし、依頼主が自ら申し出る必要があるんだ。
モモコさん
更新にお金はかかるの?
フドー先生
お金はかからないよ。仲介は成功報酬だから、物件が売れたときに初めてお金を払うことになるんだ。
フドー先生
だから、媒介契約を結んで売却活動をおこなってもらうこと自体には、費用は発生しないんだよ。

他業者への重ねての依頼ができるかの違い

モモコさん
媒介契約を結ぶことにお金がかからないんだったら、同時にいろんな仲介業者と媒介契約を結んだほうが早く売れそう。
フドー先生
実は、同時に複数の仲介業者と媒介契約を結んでもよいのは一般媒介契約だけなんだよ。

たとえばA社と一般媒介契約を結んだ場合は、B社とも一般媒介契約を結ぶことができます。もちろん3社以上と結ぶことも可能です。

専属専任媒介契約と専任媒介契約を結んだ場合は、このような「掛け持ち」をすることが認められていません。

モモコさん
掛け持ちをできないなんて、損じゃないか。専属専任媒介契約や専任媒介契約を選ぶ人なんて、いないんじゃないの?
フドー先生
その代わり、他のサービスで優遇してくれるということだよ。

たしかに「複数の業者と結べる」という点では一般媒介契約が優れているように見えますが、他の面では専任媒介契約や専属専任媒介契約のほうが優れている部分があるのです。

依頼主へ業務を報告する義務があるかの違い

仲介業者は、依頼主にお願いされた通りに売却活動をおこないます。広告を出したりホームページに情報を載せたりして、買主を探すために動いてくれるわけですね。

実際に仲介業者がどのような業務をおこなってくれてるのか、知りたくないですか?

モモコさん
知りたい。本当にきちんと買主を探してくれてるのか、気になる。

活動の状況を報告してほしいのならば、専属専任媒介契約と専任媒介契約のいずれかを選ぶ必要があります。一般媒介契約の場合は、依頼主に報告をしなくてもよいということになっています。

モモコさん
え、じゃあ一般媒介契約の場合は、活動の内容や状況を知ることはできないのか!
フドー先生
いえ、「状況を報告してください」とお願いすることは可能だよ。仲介業者に「報告の義務がない」というだけだよ。
モモコさん
そうか、状況をわざわざ問い合わせないといけないのか。それが面倒なら、一般媒介契約は結ばないほうがいいってことか。

また、「どれぐらいの頻度で報告をしなければいけないか」も決まっていて、専属専任媒介契約の場合は1週間に1回以上、専任媒介契約の場合は2週間に1回以上となっています。

フドー先生
頻繁に状況を報告してほしいなら、専属専任媒介契約がベストだね。

REINS(レインズ)への登録の義務があるかの違い

仲介業者は、依頼主の物件をREINS ?というものに登録することになっています。ただし、一般媒介契約の場合は登録をする義務はありません。

モモコさん
REINSって何?
フドー先生
簡単にいうと、全国の不動産会社の間で情報交換ができるネットワークのことだよ。

REINSの詳細についてはここでは触れませんが、REINSに登録すると売主にとってどのようなメリットがあるかについて説明しましょう。

REINSに物件情報を登録すると、購入希望者が見つかるスピードが上がります。REINSを通して依頼主の物件情報が全国的にシェアされるためです。

モモコさん
とにかく、REINSに登録したほうが有利ってことか。一般媒介契約を結ぶと、REINSに登録できないの?
フドー先生
いや、仲介業者に登録の義務がないというだけで、こちらからお願いをすれば、一般媒介契約の場合でもREINSに登録をしてもらうことはできるんだよ。

自己発見取引ができるかの違い

たとえば、知人や親族の中に「その物件を売って欲しい!」という人を見つけたとしましょう。そんなとき、その人と取引をしても良いのは、専任媒介契約と一般媒介契約を結んでいる場合のみです。

自分で買主を探して取引をおこなうことを、自己発見取引といいます。

専属専任媒介契約を結んでいる場合のみ、自己発見取引をおこなうことができません。

モモコさん
じゃあ、身近な人たちの中から買主を見つけたい場合は、専属専任媒介契約を結ばないほうがいいのか。
フドー先生
そうだね。でも、仲介業者を介して取引をするのは可能なんだよ。
フドー先生
探すのがいけないんじゃなくて、直接取引をするのがいけないということだよ。

まとめ

  • 媒介契約とは、仲介業者に物件売買の依頼をする契約のこと
  • 媒介契約を結ぶ目的は、依頼主と仲介業者の間でトラブルをなくすこと
  • 媒介契約には3つの種類があり、仲介業務サービスの内容が異なる
仲介手数料(ちゅうかいてすうりょう)

仲介業者に支払うお金のことです。

物件を売り買いするお手伝い(仲介)をしてくれたことに対する報酬として、売主や買主が支払います。

「不動産の成約価格の3%+6万円+消費税」で計算します。

仲介手数料は成功報酬のため、売買が成立しなかった場合は支払う必要はありません。

「仲介手数料」の詳細を見る
一般媒介契約(いっぱんばいかいけいやく)

依頼主(売主)と仲介業者との間で結ぶ媒介契約のうちの一つです。

専属専任媒介契約専任媒介契約と比べ、もっとも依頼主の自由度が高いことが特徴です。



「一般媒介契約」の詳細を見る
専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)

依頼主(売主)と仲介業者との間で結ぶ媒介契約のうちの一つです。

一般媒介契約よりも売主の自由度は下がりますが、専属専任媒介契約ほど拘束されることはありません。



「専任媒介契約」の詳細を見る
専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)

依頼主(売主)と仲介業者との間で結ぶ媒介契約のうちの一つです。

一般媒介契約専任媒介契約に比べ、売主の自由度はもっとも低くなっています。



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REINS(レインズ)

不動産会社同士が物件の情報をやりとりするための、コンピュータネットワークシステムの名称です。

売主・買主ともに、安心して不動産取引がおこなえることを目的としています。

「REINS」の詳細を見る