STEP1.売却の準備

家を売るためには不動産会社に依頼することになりますが、その前にまず準備しておくべきことがあります。

家に関する情報や、相場などをあらかじめ把握しておきましょう。

フドー先生
このステップで売主がやるべきことは、以下の通りだよ。


「STEP1.売却の準備」で売主がやるべきこと
  • 住宅ローンの契約内容を確認する
  • 登記内容を確認する
  • 相場を調べる
  • 売却にかかる費用を計算する
  • 売却によってローンを一括返済できるか計算する

1.住宅ローンの契約内容を確認する

まずは、住宅ローンをどのような形で金融機関と契約しているかを確認しましょう。

住宅ローンを契約したときに交付された契約書を見るか、金融機関の窓口に問い合わせて次の項目を確認します。

  • 購入代金
  • 購入したときの頭金
  • 住宅ローンの残高
  • 住宅ローンの名義

購入代金

その物件の代金がいくらだったのかを確認します。

購入したときの頭金

購入したときに頭金をいくら支払ったかを確認します。

  • 夫と妻のどちらが用意したか?
  • 親からもらった場合はどちらがもらったか?
  • もしくは頭金を入れず、フルローンで組んだか?

などを確認しましょう。

住宅ローンの残高

住宅ローンがあといくら残っているのかを確認します。

住宅ローンの名義

誰の名義で住宅ローンを契約しているか、単独名義か連帯債務かなどを確認します。

また、連帯保証人 ?についての有無も確認します。

連帯債務者が記載されるのは「住宅ローンの契約書」に、連帯保証人が記載されるのは「登記簿謄本」になります。

2.登記内容を確認する

続いて、不動産の登記 ?内容について確認しましょう。

法務局で不動産の登記簿謄本を取得して調べることができます。

モモコさん
登記簿謄本ってどうやって取得するの?

法務局の登記所に出向いて取得するほか、ネットで請求する方法もあります。

自宅に郵送してくれるので、登記所に出向く時間がない人はネットで請求すると良いでしょう。

フドー先生
また、手数料もネットで請求するほうが安くなるのでお得だよ。

登記簿謄本の取得についての詳細は法務局のサイトを参照ください。

  • 不動産の名義
  • 抵当権の設定

不動産の名義

その不動産の名義が誰のものになっているのかを確認します。

「不動産の名義」は「住宅ローンの名義」とは別物です。混同しないように注意しましょう。

「不動産の名義」と「住宅ローンの名義」の違いを理解しよう

たとえば夫単独で住宅ローンを組んでも、不動産の持分を「夫7:妻3」というように設定している場合があります。

この場合は共有名義 ?ということになり、不動産の名義は夫と妻の両方にあるということになります。

フドー先生
共有名義か単独名義か、を確認しよう。

また、連帯債務者 ?の有無も登記簿謄本で確認することができます。

抵当権の設定

抵当権 ?が設定されているかどうかを確認します。

3.相場を調べる

STEP2.査定・物件調査で不動産会社に査定をしてもらうことになりますが、その前にあらかじめ相場を把握しておく必要があります。

モモコさん
なんでなの?
フドー先生
その理由は2つあるんだ。
  • 不動産会社を見極めるため
  • 本当に売るべきかを判断するため

不動産会社を見極めるため

まず1つ目の理由は、「不動産会社を見極めるため」です。

相場を調べるということは、「周辺地域で自分の家と同ランクの家がいくらくらいで売れているか」を調べるということです。

これを大雑把でもいいのでつかんでおくことにより、不動産会社を見極めるための基準になります。

モモコさん
見極める?悪い不動産会社が存在するってこと?

実際に、媒介契約 ?を取り付けたいがために、現実を無視した高い査定価格を提示する業者がいます。

もしそのような査定価格を提示されたとしても、相場を把握しておくと「なぜそんなに高く売れると予想できるの?」と疑問に思うことができるようになります。

フドー先生
不動産会社が出した査定価格を鵜呑みにするのは危険だよ。ジャッジするために、相場を把握しておくことが大事なんだ。

本当に売るべきかを判断するため

そして相場を把握しておいたほうが良い2つ目の理由は、「本当に売るべきかを判断するため」です。

「きっと売れるだろう」と自信満々で売り出した結果、予想以上に低い値段でしか売れなかったということも起こりえます。

フドー先生
売れるかどうかは、実際に売ってみないとわからないからね。

売ったあとで「こんなことになるなら売らなきゃよかった・・・」と思っても時すでに遅し。

「周辺地域で自分の家と同じような家がいくらぐらいで取引されているのか」を知ることで、「自分の家がどれぐらいで売れるのか」をある程度予測することができるようになります。

フドー先生
相場を調べた結果、あまりにも安くしか売れそうにないなら「売らない」という選択肢もアリになるよね。

相場を把握する方法

モモコさん
なるほど。で、どうやって相場を調べればいいの?

相場を調べる方法には、

  • 「いくらで売られているか」を調べる方法
  • 「いくらで取引されているか」を調べる方法

の2種類がありますが、大まかに相場をつかむだけなら前者の「いくらで売られているか」を調べる方法で十分です。

SUUMOやgooなどのポータルサイト ?で調べることができます。詳細はこちらの記事をごらんください。

不動産売却査定の前に!家やマンションの相場を把握する方法
家やマンションがいくらで売れるかを知るには、不動産会社にをしてもらうのが一番有効です。 でも、その前に自分である程度の相場を把握し...
「goo住宅・不動産」で家やマンションの売り出し価格を調べよう
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4.売却にかかる費用を計算する

相場を把握して「家がどれぐらいで売れるか」が大体わかったら、次は「売却にかかる費用」を計算します。

モモコさん
家を売るのに、お金がかかるの?
フドー先生
すべて一人で売却をおこなうわけじゃないからね。

個人で売買することも可能ですが、専門的なスキルや法律・税金の知識が必要なので素人が手を出すとまずトラブルが起きます。

家を売るということは何千万円という大きなお金が動く取引なので、取り返しのつかないことになってしまいます。

フドー先生
なので、面倒なことはお金を支払って専門家にまかせるべきだよ。

家を売却するためにかかる費用を「税金」と「手数料」に分けると、次のようになります。

税金
  • 譲渡所得税 ?
  • 住民税 ?
  • 印紙税 ?
  • 登録免許税 ?
手数料
  • 仲介手数料 ?
  • 司法書士への報酬
  • 繰越返済手数料
モモコさん
わ、たくさんお金がかかるんだね。
フドー先生
この中でもっとも大きな費用になるのは、不動産会社に支払う仲介手数料だよ。

売却にどれぐらいの費用がかかるのかを計算しておかないと、資金計画を立てることができません。

いざ売却活動を始めたあとで「こんなにもお金がかかるなんて知らなかった・・・」と後悔しないためにも、ざっくりとでもいいのでかかる費用を計算しておきましょう。

詳細はこちらの記事をごらんください。

不動産を売却するときにかかる費用の種類と計算方法
そろそろ家を売りたいんだけど、どんな経費がどれぐらいかかるのかしら? 不動産を売却する際には、さまざま...

5.売却によってローンを一括返済できるか計算する

「家がどれぐらいで売れるか」「家を売るためにどれぐらいお金がかかるか」が把握できたら、「売却することによってどれぐらいのお金が残るか」がわかります。

また、家のローンが残っている場合は、「売却によって得られたお金でローンを返済できるか」も考えないといけません。

フドー先生
原則として、「いまの家のローンを完済する」ことが売却の条件だからね。

計算方法

売却によってローンを一括返済できるかは、

  • 売却価格 ?」から「売却にかかる費用」を引いたものが、「ローン残債」を上回るか?

で求めることができます。

売却価格は売れるまでわからないので、相場から割り出した「売れるであろう価格」や不動産会社に出してもらった査定価格 ?で代用します。

フドー先生
査定価格は売却価格を予想したものだからね。

計算方法の詳細についてはこちらの記事をごらんください。

売却で家のローン残債を返済できる?計算してみよう
ローンが残っている家を売るためには、ローンを全て返済しないといけません。 ローンの一括返済をするには、家を売った代金を充てるこ...

アンダーローンとオーバーローン

「売却価格」から「売却にかかる費用」を引いたものが、

  • 「ローン残債」を上回る→売却できる(アンダーローン ?
  • 「ローン残債」を下回る→売却できない(オーバーローン ?

ということになります。

 
アンダーローンの場合は家を売却したお金でローンを一括返済することができます。

他にも、資金やいつまでに売らないといけないかなどを加味しながら、

  • 「売る」or「売らない」
  • 「売る」or「貸す」
  • 「先に売る」or「先に新居を買う」

などを検討します。

モモコさん
なんか難しくて面倒臭そうだな・・・

もちろん、ひとりで考え込む必要はありません。心配ごとやわからないことがあれば、次のSTEP2.査定・物件調査で不動産会社に相談しながら決めていけばいいのです。

むしろ、この時点ですべて答えを出そうとせずに「あえて」わからないことを残しておいて、不動産会社にたくさん質問をしましょう。

質問をたくさん用意しておいたほうが、不動産会社をテストできます。

モモコさん
なるほど。わからないことがたくさん出てきたほうがいいってことか。
フドー先生
不動産会社への質問のネタ集めのために、このタイミングでいろいろ考えておこう。
連帯保証人(れんたいほしょうにん)

お金を借りた借主(債務者)に問題が起きてお金を返せなくなったときに、代わりに責任を持ってお金を支払う人です。

もし借主に何らかの問題が起きて返済能力がなくなった場合に、貸主(債権者:金融機関など)は連帯保証人に請求することによってお金を回収することができます。

連帯保証人は「保証人」よりも責任が重く、借主と同等の立場になります。

「連帯保証人」の詳細を見る
不動産登記(ふどうさんとうき)

不動産の情報や所有者の情報を、法務局が管理している「登記簿」に記載することです。

不動産登記をおこなうことにより、不動産の権利関係を法的に明らかにすることができ、不動産取引を安全におこなえるようになります。

不動産売却の際におこなう登記は、以下の通りです。

  • 所有権移転登記
  • 住所変更登記
  • 抵当権抹消登記
「不動産登記」の詳細を見る
共有名義(きょうゆうめいぎ)

夫婦や親子などの共同で登録された不動産(家)の名義です。

夫婦や親子でお金を出し合って不動産を購入した場合は、不動産の名義を共有名義にするのが一般的です。

出資した金額の割合に応じて、家の所有の割合(共有持分)が決まります。

共有名義に対して、1人で登録された不動産の名義は「単独名義」といいます。

共有名義の詳細ページを見る
抵当権(ていとうけん)

金融機関がお金を貸すときに、借りた側がお金を返せなくなったときのためにあらかじめ「肩代わり」として、不動産を担保に設定する権利のことです。

不動産を売却する際には、ローンを全額返済して抵当権を外す必要があります。

抵当権を外す手続きを「抵当権抹消登記」といいます。

抵当権抹消登記については「不動産登記」の用語説明ページをごらんください。
媒介契約(ばいかいけいやく)

依頼主(売主)が「物件を売るお手伝いをしてください」とお金を払い、仲介業者との間で結ぶ契約のことです。

媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があります。



「媒介契約」の詳細を見る
ポータルサイト

「その分野に関する多くの情報を扱っている巨大なサイト」のことです。

不動産業界におけるポータルサイトとは、物件の情報をたくさん掲載している総合サイトのことを指します。

不動産業界の大手ポータルサイトとしては、SUUMO、HOME’S、at home、O-uccino、Yahoo!不動産などが挙げられます。

「ポータルサイト」の詳細を見る
譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)

不動産を売却したときに出た利益(譲渡所得)に対して課せられる税金です。

「課税譲渡所得」に「税率」をかけることで算出します。その不動産を所有している期間の長さによって、「税率」は変化します。

「譲渡所得税」の詳細を見る
住民税(じゅうみんぜい)

その地域に住んでいる人が地域に対して支払う税金です。

不動産売却においては、売却による利益(譲渡所得)が発生した場合に支払う必要があります。

住民税は譲渡所得税の一部であるため、譲渡所得税と同じ計算の仕方で算出することになります。

「住民税」の詳細を見る
印紙税(いんしぜい)

「課税文書」と呼ばれる契約書や領収書を作成することで課せられる税金です。課税文書に「収入印紙」を貼ることで納税します。

不動産売却においては、37条書面(不動産売買契約書)が「課税文書」にあたります。37条書面に収入印紙を貼り、印紙税を納税する義務があります。

「印紙税」の詳細を見る
登録免許税(とうろくめんきょぜい)

登記をする際にかかる税金です。

出版権や著作権、商標権、特許権やその他免許などに関わる登録をおこなうためには登記をする必要がありますが、その際に納めないといけない税金が登録免許税です。

不動産に関する登記としては、土地や家を購入したり、建築したときにおこなう「不動産登記」があります。また、売却のときも同様に不動産登記をおこなう必要があります。

不動産売却の際におこなうべき不動産登記は、「所有権移転登記」「住所変更登記」「抵当権抹消登記」です。

「登録免許税」の詳細を見る
仲介手数料(ちゅうかいてすうりょう)

仲介業者に支払うお金のことです。

物件を売り買いするお手伝い(仲介)をしてくれたことに対する報酬として、売主や買主が支払います。

「不動産の成約価格の3%+6万円+消費税」で計算します。

仲介手数料は成功報酬のため、売買が成立しなかった場合は支払う必要はありません。

「仲介手数料」の詳細を見る
成約価格(せいやくかかく)

不動産の売買をおこなった価格です。「取引価格」「売却価格」ともいいます。

売主と買主の間で合意した、最終的な取引の価格になります。

「成約価格」の詳細を見る
査定価格(さていかかく)

不動産会社が物件に対して「これぐらいで売れるだろう」と予測する価格です。

不動産査定をおこなうことによって算出されます。売り出し価格を決めるためのベースになるので、非常に重要です。

「査定価格」の詳細を見る
アンダーローン

「ローン残債」が「不動産の売却額」より低くなる状態のことです。

アンダーローンの場合は、不動産を売却することでローンを完済し、利益を出すことができます。
オーバーローン

「ローン残債」が「不動産の売却額」より高くなる状態のことです。

オーバーローンの場合は、不動産を売却することでローンを完済することができず、負債を抱えることになります。