売却で家のローン残債を返済できる?計算してみよう

ローンが残っている家を売るためには、ローンを全て返済しないといけません。

ローンの一括返済をするには、家を売った代金を充てることが一般的です。つまり、ローン残債よりも高い値段で売らなければいけないということです。

もしローン残債より高く売却することができなかった場合は、不足分を自己資金で補填する必要があります。それができない場合は、住み替えローン ?任意売却 ?を利用することになります。

モモコさん
住み替えローンや任意売却という手段があるんなら、別にローンを返せなくてもいいんじゃないの?

たしかに、住み替えローンや任意売却を利用するとローンが残った状態でも家を売却することができます。しかし、さまざまなリスクを負うことになるので、できるなら普通に売却するべきです。

フドー先生
住み替えローンや任意売却は「最後の切り札」として考えよう。

まずは「売却代金で家のローンを返済できるか」を計算することが先決です。ここでは、ローン返済に充てられる金額をどのようにして算出するのかを説明します。

「売却価格」から「諸費用」を引いたものが、ローンに充てられる金額

「家を売却したお金でローンを返済する」と言っても、家の売却代金のすべてをローン返済に充てられるわけではありません。

なぜなら、家の売却にはさまざまな費用がかかるからです。「売却にかかる費用」を「売却価格」から捻出すると考えると、

  • 「売却価格」-「諸費用」

これがローン返済に充てることができる金額になります。

モモコさん
ただ高く売れればいいってことじゃないんだね。
フドー先生
費用がいくらかかるのかということも考えておかないとね。

そして、「売却価格」-「諸費用」の金額が「ローン残債」を上回るならば一括返済をすることができるということです。

一括返済できる

  • 「ローン残債」<「売却価格」-「諸費用」

一括返済できない

  • 「ローン残債」>「売却価格」-「諸費用」

それでは、具体的な計算方法について説明しましょう。

売却価格を計算する

モモコさん
売却価格って、どうやって調べるの?

売却価格、つまり「実際に家がいくらで売れるか」は、売れるまでわかりません。

買主あっての売買なので、売主の都合だけで「いくらで売ろう!」というふうに売却価格を決めることはできないのです。

モモコさん
じゃあ、売却価格を知ることはできないの?
フドー先生
目安を知ることはできるよ。

売却価格を正確に計算することはできませんが、前もって「いくらくらいで売れるか」という目安を知ることはできます。

売却価格の目安をつかむ方法はおもに2つあります。

  • 相場をチェックする
  • 不動産会社に査定をしてもらう

相場をチェックする

一般の個人でも、だいたいの相場ならネットで簡単に調べることができます。

  • 「過去に、似たような物件がいくらくらいで売買されたか」を調べる方法
  • 「現在、似たような物件がいくらくらいで売り出されているか」を調べる方法

不動産の価格は、間取りや築年数、地域の人気や周辺環境など、さまざまな要素で決定されます。

ということは、これらの要素が似ている不動産同士であれば、売却価格も近くなってくるということです。

なので、「自分が売りたい不動産と似ている不動産」の情報を参考にすることで、「いくらで売れるのか」を探ることができるのです。

フドー先生
自分の売りたい不動産と特徴が似ている不動産ほど、参考になるよ。
モモコさん
ネットで、どうやって調べるの?

個人で相場をチェックするには、SUUMOやat homeなどのポータルサイト ?、土地総合情報システム、REINS MARKET INFOMATIONなどが便利です。

相場をチェックする方法の詳細はこちらの記事をごらんください。

不動産売却査定の前に!家やマンションの相場を把握する方法
家やマンションがいくらで売れるかを知るには、不動産会社にをしてもらうのが一番有効です。 でも、その前に自分である程度の相場を把握し...

不動産会社に査定をしてもらう

以上のように「不動産がいくらくらいで売れるか」の相場は個人でもチェックできますが、より正確な売却価格の目安を知りたいなら、不動産会社に査定 ?をしてもらうと良いでしょう。

フドー先生
やっぱりプロに任せるのが一番だからね。

ただし、注意点があります。それは「不動産会社によって査定価格 ?にバラツキがある」ということです。

不動産会社ごとに査定のスキルも得意分野も違うため、「これぐらいで売れるでしょう」という予測できる価格にも差が出てくるのです。

また、中には自社の利益のために、デタラメな査定価格を提示する業者もいます。

モモコさん
え、じゃあ不動産会社の言う査定価格は信用できないじゃない。

査定価格の精度を高めるために、複数の会社に査定をしてもらって、平均値をとれば良いのです。

1社だけの査定価格では信用できませんが、5〜6社に査定を依頼してその平均値を出せば、目安とするには十分な価格が割り出せるでしょう。

モモコさん
でも、複数の会社にわざわざ査定をお願いするのって面倒そう。

ネットの一括査定サービスを利用すれば、自宅にいながら無料で複数の業者に査定を依頼できるので便利です。

査定を依頼する際には訪問査定 ?机上査定 ?を選ぶことになります。

実際に家を訪問してもらう訪問査定ならより精度が高い査定ができますが、メールや電話だけで完結する机上査定でもだいたいの売却価格がわかります。

訪問査定をすると業者と直接話すことになるので、媒介契約 ?の勧誘を受けることになるかもしれません。

とりあえず売却価格の目安を知りたいだけなら、机上査定で十分です。

フドー先生
「家に上がられるのが面倒くさい」とか「勧誘されるのが面倒臭い」なら、机上査定を選ぼう。

売却にかかる諸費用を計算する

売却価格の目安がつかめたら、次に「売却にかかる諸費用」について計算していきましょう。

不動産売却をおこなっていると、さまざまな場面で出費をすることになります。「税金」「手数料」「その他」の3つに大きくわけて見ていきましょう。

税金

  • 譲渡所得税 ?
  • 住民税 ?
  • 印紙税 ?
  • 登録免許税 ?
手数料

  • 仲介手数料 ?
  • 司法書士への報酬
その他

  • 追加の広告費
  • ハウスクリーニング費用
  • 引っ越し費用
モモコさん
うわ、こんなにたくさんのことに出費しないといけないのか。

売却にかかる費用についての詳細は、こちらの記事をごらんください。

不動産を売却するときにかかる費用の種類と計算方法
そろそろ家を売りたいんだけど、どんな経費がどれぐらいかかるのかしら? 不動産を売却する際には、さまざま...

「売却価格」から「諸費用」を引く

「ローン残債」「売却価格」「諸費用」この3つの価格が算出できたら、「売却価格」から「諸費用」を引いてみましょう。

一括返済できる

  • 「ローン残債」<「売却価格」-「諸費用」

一括返済できない

  • 「ローン残債」>「売却価格」-「諸費用」

ローン残債より大きくなれば一括返済することができます。小さくなれば、一括返済することができません。

もし小さくなったとしても、不足分を自己資金や親族から借りるなどして補うことができるのであれば、一括返済することができます。

まとめ

  • 売却価格と売却の諸費用が、ローン残債より高くなるか計算する
  • 売却価格の目安は個人でもチェックできる
  • 一括査定を利用すれば売却価格の目安をつかみやすい
  • 査定の方法は訪問査定で十分
住み替えローン(すみかえローン)

住み替えの際に利用するローンの一種です。「買い替えローン」ともいいます。

現在の家のローン残債を、次に購入する家のローンに上乗せして組むことができます。

現在の家の売却代金でローンを返済できない場合に利用できます。

「住み替えローン」の詳細を見る
任意売却(にんいばいきゃく)

ローンを残したまま家を売り、不足分を分割で支払う方法です。

任意売却をおこなえば、ローンを返すのが困難になった人や、ローンの不足分を支払えなくなった人でも不動産を売却することができます。

ただし、任意売却をおこなうためには、お金を借りている銀行の同意を得る必要があります。返済能力がある場合は、任意売却をおこなうことを認めてもらえません。

「任意売却」の詳細を見る
ポータルサイト

「その分野に関する多くの情報を扱っている巨大なサイト」のことです。

不動産業界におけるポータルサイトとは、物件の情報をたくさん掲載している総合サイトのことを指します。

不動産業界の大手ポータルサイトとしては、SUUMO、HOME’S、at home、O-uccino、Yahoo!不動産などが挙げられます。

「ポータルサイト」の詳細を見る
不動産査定(ふどうさんさてい)

その物件が「いくらで売れるか」を不動産業者に予想してもらうことです。

物件のスペックや状態、過去の取引事例や市場の動きを参考にして算出します。

不動産査定の方法には、机上査定訪問査定の2種類があります。

不動産査定をおこなって算出した価格、つまり「いくらで売れるか」を予想した価格を査定価格といいます。

「不動産査定」の詳細を見る
査定価格(さていかかく)

不動産会社が物件に対して「これぐらいで売れるだろう」と予測する価格です。

不動産査定をおこなうことによって算出されます。売り出し価格を決めるためのベースになるので、非常に重要です。

「査定価格」の詳細を見る
訪問査定(ほうもんさてい)

不動産査定の方法のひとつです。

業者が実際に物件に立ち寄って調査する査定方法であるため、時間はかかりますが査定の精度は高くなります。

「訪問査定」の詳細を見る
机上査定(きじょうさてい)

不動産査定の方法のひとつです。

仲介業者が物件を訪問することなく机上だけでできる査定方法であり、短時間で算出することができます。

「机上査定」の詳細を見る
媒介契約(ばいかいけいやく)

依頼主(売主)が「物件を売るお手伝いをしてください」とお金を払い、仲介業者との間で結ぶ契約のことです。

媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があります。



「媒介契約」の詳細を見る
譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)

不動産を売却したときに出た利益(譲渡所得)に対して課せられる税金です。

「課税譲渡所得」に「税率」をかけることで算出します。その不動産を所有している期間の長さによって、「税率」は変化します。

「譲渡所得税」の詳細を見る
住民税(じゅうみんぜい)

その地域に住んでいる人が地域に対して支払う税金です。

不動産売却においては、売却による利益(譲渡所得)が発生した場合に支払う必要があります。

住民税は譲渡所得税の一部であるため、譲渡所得税と同じ計算の仕方で算出することになります。

「住民税」の詳細を見る
印紙税(いんしぜい)

「課税文書」と呼ばれる契約書や領収書を作成することで課せられる税金です。課税文書に「収入印紙」を貼ることで納税します。

不動産売却においては、37条書面(不動産売買契約書)が「課税文書」にあたります。37条書面に収入印紙を貼り、印紙税を納税する義務があります。

「印紙税」の詳細を見る
登録免許税(とうろくめんきょぜい)

登記をする際にかかる税金です。

出版権や著作権、商標権、特許権やその他免許などに関わる登録をおこなうためには登記をする必要がありますが、その際に納めないといけない税金が登録免許税です。

不動産に関する登記としては、土地や家を購入したり、建築したときにおこなう「不動産登記」があります。また、売却のときも同様に不動産登記をおこなう必要があります。

不動産売却の際におこなうべき不動産登記は、「所有権移転登記」「住所変更登記」「抵当権抹消登記」です。

「登録免許税」の詳細を見る
仲介手数料(ちゅうかいてすうりょう)

仲介業者に支払うお金のことです。

物件を売り買いするお手伝い(仲介)をしてくれたことに対する報酬として、売主や買主が支払います。

「不動産の成約価格の3%+6万円+消費税」で計算します。

仲介手数料は成功報酬のため、売買が成立しなかった場合は支払う必要はありません。

「仲介手数料」の詳細を見る