住み替えの手順は、売却が先?購入が先?選ぶ基準は?

住み替えをしようと思うんだけど、売却が先?それとも、購入が先?どっちから進めればいいんだろう・・・

住み替えを考えている人にとって大きな疑問となるのが、「売却」と「購入」の順番をどうするのか、ということではないでしょうか。

先に売却してしまっては住む家がなくなるし、先に新居を買うと家を2つ持つことになるし・・・

モモコさん
次に住む家が賃貸なら問題ないけど、買うとなると順番に悩んじゃうね。
フドー先生
特に、ローンの問題が大きいよね。

「売却」と「購入」の順番がわからないままでは、何も手につかないという状況になってしまいかねません。

しかし、「売却」と「購入」のどちらを先におこなうべきかを決めるポイントさえ押さえておけば、迷うことはありません。自分にとってふさわしい順番を見つけることができます。

ここでは、住み替えの際の売却と購入の順番をどのように考えていけばいいのかを説明します。

資金状況にあわせて決める

自宅を先に売却してから新居を購入することを売り先行 ?、新居を購入してから自宅を売却することを買い先行 ?といいます。

では、住み替えをする際に「売り先行」「買い先行」、どちらを選ぶべきなのでしょうか?

じつはこれには、「どちらが正しい」「どちらが得」という答えはありません。

モモコさん
え、じゃあどうすればいいの?

資金状況やプランに沿って、自分にとってふさわしいほうを選べばいいのです。

ひとくちに「住み替え」と言っても、その状況や要望は人によって様々ですよね。資金が豊富にある人、ない人。次に住みたい家が決まっている人、決まっていない人。

フドー先生
資金があるかないか、を基準に考えるといいよ。

結論から言うと、資金に余裕がある人は「買い先行」、余裕がない人は「売り先行」を選ぶといいでしょう。

モモコさん
そうなんだ。なんで?

その理由を説明する前に、まずは「売り先行」「買い先行」のそれぞれのメリットやデメリットなど、特徴をよく把握しておきましょう。

売り先行と買い先行の特徴

「売り先行」を選んだときと「買い先行」を選んだときに、それぞれどんなメリットとデメリットがあるのか、まとめました。

「売り先行」のメリット

  • 売却によって資金を得られるので住み替えの計画を立てやすい
  • 売却代金をローン返済に充てることができる
  • 売り急ぐ必要がないので、高く売れるチャンスをつくれる
「売り先行」のデメリット

  • 仮住まいをしなければならない可能性がある
  • 居住中での内覧になってしまう
  • 引っ越しを2度おこなわないといけない
「買い先行」のメリット

  • じっくりと新居を探せる
  • 仮住まいをしなくてもよい
  • 空き家の状態で内覧をおこなえる
「買い先行」のデメリット

  • 新居の購入資金を準備しなければいけない
  • 売り急いで、売値を下げてしまうかもしれない
  • 住宅ローンを二重に組まなければいけない可能性がある
モモコさん
ふーん、なんとなくわかった。

では、少し見方を変えて「資金」「売却活動」「引っ越し」という側面から、両者を比較してみましょう。

売り先行 買い先行
資金
  • 売却によって得られた資金を購入に充てることができる
  • 売却代金をローン返済に充てることができる
  • 購入のための資金を用意しておく必要がある
  • 旧居のローンが残っている場合、ローンを二重に組むことになる
売却活動
  • 急いで売る必要がない
  • 居住中での内覧になる
  • 旧居が売れるまで二重ローンが続く
  • 空き家での内覧になる
引っ越し
  • 仮住まいをしなければいけない可能性がある
  • 引っ越しを2回しなければいけない可能性がある
  • 仮住まいをしなくてよい
  • 引っ越しは1回で済む
モモコさん
なるほど!こうして比べてみると、わかりやすいね。
フドー先生
では、「売り先行」「買い先行」について詳しく解説していこう。

資金に余裕がないなら「売り先行」

資金

手元に資金がなく、じっくりと堅実に資金計画を立てたいなら、「売り先行」を選ぶべきです。

先に家を売ることによってお金を得られるため、計画を立てやすくなります。

モモコさん
新居を買おうにも、お金がなければどのぐらいの値段の家を買うか決められないもんね。
フドー先生
先に売却をするということは、「いくらで売れるか」という心配をする必要がなくなるんだ。

また、売却によって得たお金をローン返済に充てることができるので、ローンを二重に組む必要もありません。

現在の家のローンをきちんと終わらせたうえで、新居のローンを組むことになります。

モモコさん
堅実に、ひとつずつこなしていく感じだね。
フドー先生
資金計画の立てやすさが、「売り先行」のもっとも大きなポイントだよ。

売却活動

「売り先行」で進めた場合、次に住む家をまだ購入していないので、現在の家で普通に生活をしながら売却活動をおこなえます。

急いで売る必要がないので、希望の価格で売れるまでじっくりと取り組むことができます。

フドー先生
つまり、「買い先行」より高く売りやすくなるんだ。

その一方、購入希望者が家を見に来る内覧 ?をおこなうときに、「空っぽの状態を見せてあげられない」というデメリットもあります。

モモコさん
住みながら内覧をおこなうことになるもんね。

ただし、購入希望者のすべてが、空き家の状態の家を見たいというわけではありません。

中には「居住中の状態を見たい」という買主もいます。居住中のほうが、実際に家具を置いた感じや生活感をイメージしやすいから、という理由によります。

フドー先生
うまく生活感を演出することができれば、居住中の内覧でも良いアピールができるかもね。

「売り先行」で進めたいけど、どうしても居住中の内覧をしたくないという場合は、賃貸に仮住まいをして空き家にするという手段もあります。

引っ越し

「売り先行」の場合、「売れたけど次に住む家がない」という状態になりがちです。

モモコさん
家を売って住む場所がなくなったら、どうするの?

次の家が見つかるまでは賃貸での仮住まいをすることが多いです。そうなると仮住まいのための費用が必要になりますし、引っ越しを2回おこなうことになります。

フドー先生
これは手間もお金もかかるね。

でも、そもそも「新居を購入する予定がなく、賃貸に住みたい」のであれば、仮住まいの問題はなくなります。

また、仮住まいの良い点としては、「じっくりと頭金を貯めてから新居を買うことができる」ということが挙げられます。

ローンの借り入れを少しでも減らしたいなら、仮住まいをしながら頭金をしっかりと貯めればいいでしょう。

モモコさん
「売り先行」なら、あせらずじっくりと計画を立てられるね。

資金に余裕があるなら「買い先行」

資金

「買い先行」「売り先行」に比べ、資金計画が立てにくくなります。家がいくらで売れるかが確定する前に家を購入しないといけません。

家がいくらで売れるかは、売ってみないとわかりません。不動産会社に査定 ?をしてもらうなどして「売却価格 ?の予想」をすることはできますが、あくまでも結果はどうなるかわかりません。

モモコさん
なるほど、

また、旧居のローンが残っている状態だと、新居のローンと二重債務になる恐れがあります。

フドー先生
「ローンが重なっても余裕がある」「旧居のローンを一括返済できる」ぐらいの資金があるなら、買い先行を選んでも問題ないよ。

売却活動

「買い先行」で先に新居を購入すると、旧居が売れるまで二重ローンの状態が続いてしまいます。

この状態を解消しようとするため、売り急いでしまいがちです。

モモコさん
売り急ぐと、どんなリスクがあるの?
フドー先生
売値を下げてしまいがちになるんだ。

早く売却するためにもっとも効果的なのは「値下げ」です。値段が下がると買主がつきやすくなります。

安い価格での売却になってもダメージがないぐらい資金が豊富なら、売り急いで値段を下げても問題ありませんが、できるだけ高く売却したいなら「買い先行」は向いていません。

また、確実に売却をしたいなら「買取り」を選ぶのもありです。「仲介」とは違って不動産会社が直接買い取ってくれるので、即時に売ることができます。

フドー先生
「買い手がつくかな?」という心配をする必要がなくなるよ。

その代わり、「買取り」は市場価格より低い価格での売却になってしまいます。ですが、どうせ「仲介」で値下げをして売却するなら、さっさと買い取ってもらったほうが良いかもしれません。

引っ越し

「買い先行」で進めた場合、「売り先行」の場合のように仮住まいをする必要がなく、引っ越しも1回で済ませることができます。

モモコさん
新居を購入しさえすれば、すぐに移れるもんね。

また、明け渡しの時期を気にする必要がないために新居をじっくりと探すことができるのが大きなメリットです。

「売り先行」を選択してなおかつ「仮住まいをしたくない」場合だと、家の売却が決まれば明け渡しの時までに急いで新居を探さないといけません。

次に住みたい家がある場合は「同時進行」

「売り先行」「買い先行」について見てきましたが、決め手は「資金に余裕があるかないか」です。

資金に余裕があれば「買い先行」を選ぶこともできますが、それでも「売り先行」を選ぶ人も多いです。

フドー先生
一般的には、住み替えをおこなう際は「売り先行」で進めることが多いよ。

そして、3つ目の手段として「同時進行」というものもあります。すでに次に住みたい家が決まっている場合は、「売却」と「購入」を同時に進めるのもありです。

ただでさえやることが多いことを同時におこなうのですから、当然、慌ただしくなりますし、意識が分散されてしまうリスクもあります。

モモコさん
ひとつずつ順番に集中しておこなったほうが、良い結果が出そうだけど。

ですが、「売却」と「購入」を同じ不動産会社に任せることで、タイミングを合わせやすくなりますし、相談もしやすくなります。

フドー先生
窓口を1本に絞ることで、面倒臭いこともスムーズに片付けられるというメリットがあるよ。

「売り先行」「買い先行」の詳細な手順については、こちらの記事をごらんください。

「売り先行」と「買い先行」の手順とポイントについて
住み替えをするときに重要になるのが、「売却」と「購入」のタイミングです。 先に今の家を売却する「売り先行」と、先に新居を購入す...

まとめ

「売り先行」はこんな人にオススメ
  • 資金に余裕がないので堅実に住み替えをおこないたい
  • 新居の購入資金を得るため、できるだけ高く売却したい
  • 新居が見つかるまでは仮住まいをしてもいい
「買い先行」はこんな人にオススメ
  • 資金に余裕があるので二重ローンになってもかまわない
  • すでにローンを返済済み
  • 高く売却できなくてもいい
  • 「ペットを飼っている」など、賃貸の仮住まいができない
  • 新居をじっくりと探したい
売り先行(うりせんこう)

住み替えの際に、新居の購入よりも先に今の住まいを売却する手順のことです。対して、先に購入する手順を「買い先行」といいます。

「売り先行」には資金計画を立てやすいというメリットがあり、住み替えをおこなう人の多くが売り先行の手順で進めています。

「売り先行」と「買い先行」のステップの違いは以下の通りです。

買い先行(かいせんこう)

住み替えの際に、今の住まいの売却よりも先に新居の購入をする手順のことです。対して、先に売却する手順を「売り先行」といいます。

「買い先行」にはじっくりと新居を探せるというメリットがありますが、新居を購入する資金を用意する必要があります。

「売り先行」と「買い先行」のステップの違いは以下の通りです。

内覧(ないらん)

物件の購入を検討している人が、実際に物件を訪問することです。

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不動産査定(ふどうさんさてい)

その物件が「いくらで売れるか」を不動産業者に予想してもらうことです。

物件のスペックや状態、過去の取引事例や市場の動きを参考にして算出します。

不動産査定の方法には、机上査定訪問査定の2種類があります。

不動産査定をおこなって算出した価格、つまり「いくらで売れるか」を予想した価格を査定価格といいます。

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成約価格(せいやくかかく)

不動産の売買をおこなった価格です。「取引価格」「売却価格」ともいいます。

売主と買主の間で合意した、最終的な取引の価格になります。

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