世の中には、あふれるほどの数の仲介業者が存在します。そして、その体質もさまざまです。
売主の立場になり、親身になって真剣に売却のために尽くしてくれる業者。
利益最優先で、売主の要望にはまともに応えてくれない業者。
不動産売却の成否は「業者選び」にかかっており、ろくでもない業者と媒介契約 ?を組もうものなら、売れる物件も売れなくなってしまいます。
大事なのは、「ひとつの仲介業者に固執しない」ということです。
「この業者はダメだ」と思ったら契約を解除して、きちんと仕事をしてくれる業者に乗り換えるべきです。
ここでは、不動産売却における仲介業者の乗り換えのタイミングやポイントについて説明します。
目次
契約有効期間内でも解約できる
契約有効期間内でも、媒介契約を解約することはできます。
たとえば、ある仲介業者と専任媒介契約 ?を結び、契約有効期間を「3ヶ月」に設定したとしましょう。
1ヶ月経過した時点で「解約したい」と思ったら、残り2ヶ月の期間がありますが、中途解約することができます。
3ヶ月で契約したからと言って、3ヶ月経過するまで待つ必要はありません。
ただし、中途解約をおこなう際にはいくつか注意するべきポイントがあります。
- 解約の意思表示をしっかりとおこなう
- 口頭でおこなわず、書面に残す
解約の意思表示をしっかりとおこなう
媒介契約を中途解約するには、「業者と売主の双方の合意」が必要になります。
一方的に「解約させてください」と言うだけでは解約をすることができません。相手に同意してもらうために、売主としては、解約の意思をはっきりと示す必要があります。
なぜ解約をしたいのか、どのような理由で解約をしたいのかを業者に伝えましょう。
口頭でおこなわず、書面に残す
中途解約は電話でもおこなうことができますが、できるだけメールか書類などの書面で残すようにしましょう。
口頭だけでのやり取りでは、言った言わないのトラブルがのちのち起こる恐れがあるためです。
詳細はこちらの記事をごらんください。
(リンク)
業者に対して不信感を抱いたらすぐに解約しよう
「せっかく契約を結んだから、有効期間中は継続しなければ」なんて思う必要はありません。
どの仲介業者を選ぶかは、売主の自由です。お金を払うのは売主なのですから。
「この業者は信用できない」「もっと熱心に働いてくれる業者と組みたい」と思ったら、さっさと契約を切って新しい仲介業者を探しましょう。
以下に、「このような業者は解約するべき」という目安を提示しておきます。参考にしてください。
- 活動報告をやってくれない
- 活動報告はくれるが、活動の内容が薄い
- 理由を提示せずに値下げの提案をしてくる
- 頻繁に買取の提案をしてくる
- 担当者個人についてもチェック
活動報告をやってくれない
仲介業者には、どのような売却活動をおこなったのかを売主に報告する義務があります。
専任媒介契約 ?は2週間に1度以上、専属専任媒介契約 ?は1週間に1度以上の頻度で、報告をしなければいけないということになっています。にもかかわらず、報告をきちんとおこなってくれない業者というのが存在します。
「活動報告をおこたる業者は売主の側に立つ業者じゃない」と判断しましょう。
ちなみに一般媒介契約 ?を結んだ場合は売主に対しての報告の義務はありませんが、それでも報告を催促することは可能です。遠慮せず、どんどん催促しましょう。
活動報告はくれるが、活動の内容が薄い
「活動報告をくれたらオッケー!」というわけではありません。問題はその活動の中身です。
報告された内容を見て、どうも熱心に動いてくれているとは思えないな・・・という場合は、業者の切り替えを検討しましょう。
あと、報告するべき内容については決まりがなく、フォーマットも存在しません。その業者ごとに報告の形式が異なります。
電話で報告する業者もいれば、メールなどの書面で報告してくれる業者もいます。売主の希望する形式での報告に応じてくれる業者もいるでしょう。
いずれにしても、報告の項目が多く、詳細について記載されているか?が重要です。
ざっくりとした報告書よりも、事細かく活動の内容が書かれた報告書のほうが良いのは当然ですよね。
どのような報告書を書いてくれるのか?ということも、業者選びの際の判断基準にしましょう。
活動報告に関する詳細はこちらの記事をごらんください。

理由を提示せずに値下げの提案をしてくる
物件が売れないとき、やたらと値下げの提案をしてくる業者には注意が必要です。
値下げをおこなう前に確認するべきなのが、「業者はやるべきことをやったのか?」ということです。
やるべきことをやった上で、「値下げをするしか方法が残されていない」のであれば、値下げが有効な手段となるでしょう。
ですが、他にやるべきことがあるのに怠っているのであれば、まずそれをおこなってもらうべきです。
その値下げには根拠があるか?ここをきちんと説明せずに値下げを連呼する業者は、売主目線に立ってくれているとは考えられません。
詳細についてはこちらの記事をごらんください。

頻繁に買取の提案をしてくる
仲介の依頼をしているのに、「買取もありますよ!」「もし仲介で売れなかった場合は買取もありますのでご安心を!」と勧めてくる業者にも注意です。
一見、買取がバックにあるのなら安心できそうですし、そのような提案をしてくれる業者は売主のことを思ってくれているように感じられます。
ですが、その真の意図については疑う必要があります。
「最初から仲介で頑張る気持ちがない」「手っ取り早く買い取るほうがラク」「仲介の能力がない」などといった思いや事情が潜んでいる可能性があります。
もちろん、すべてのケースがそうだとは限りません。熱心に仲介をしてくれたあとで、最終手段として買取をおこなってくれる業者もいます。
大事なのは、売主自身が「そのようなケースもある」ということを理解しておき、業者の提案を鵜呑みにせず一度疑う姿勢を持つことです。
特に、仲介を始める前や始めた直後から買取を頻繁に提案してきたときは、疑ってみましょう。
詳細はこちらの記事をごらんください。
担当者個人についてもチェック
不動産会社の体質をチェックするのと同じくらい重要なのが、担当者個人についてのチェックです。
売主思いの方針で営業している良い会社でも、担当者個人がいい加減な場合もあります。経験が浅すぎる担当者だと、実力が不十分ということもあるでしょう。
逆に、会社があまり良くなくても担当者が素晴らしい場合もあります。個人的な相性がバッチリで、仕事を進めやすいといったこともあるでしょう。
「コミュニケーションを取れない」「電話やメールなどの連絡が遅すぎる」「服装や身だしなみが整っていない」など、人として当たり前のことができていない担当者も存在します。
ここに、「担当者を見極める!チェックリスト」を用意しましたので、担当者選びの際に是非活用してください。
- 担当者は宅地建物取引士か?
- 自分の体験談や個別の事例の話ばかりをしていないか?
- 接客態度やマナーは悪くないか?
- 電話やメールの返事など、反応が遅くないか?
- 売主の話を聞こうという姿勢があるか?
- 高く売るための戦略やシナリオを持っているか?
- 十分な情報を、わかりやすく伝えてくれるか?
まとめ
- 契約有効期間内でも解約できる
- 活動報告をやってくれているか?
- 活動の内容が薄くないか?
- 報告書のフォーマットの項目は多く、細かいか?
- 理由を提示せずに値下げの提案をしていないか?
- 頻繁に買取の提案をしてこないか?
- 担当者は売主側に立ってくれる人物か?