宅地建物取引士の資格を持っていない担当者に注意!

不動産の売却を仲介してくれる不動産会社は国内に無数に存在しますが、その営業担当者のすべてが「資格を持ったプロ」とは限りません。

不動産取引(宅建業 ?)におけるプロとは、宅地建物取引士(宅建士) ?です。

不動産に関する法律の正しい知識を身につけた宅建士こそが、お客さんの利益を守ることができる「不動産取引のプロ」なのです。不動産取引は、絶対に宅建士に託すべきなのです。

よって、担当についてくれた営業マンが、宅地建物取引士かどうかをチェックする必要があります。もし宅建士じゃなかったら、担当を変えてもらうべきです。

モモコさん
そうなのか!担当についてくれる人はみんな、何らかの資格を持っているんだと思ってた。
フドー先生
不動産会社の営業マンだからといって、「信頼できるプロだ」と無条件に信頼するのは危険なんだよ。

宅建士とは?

宅建士とは「不動産取引のプロフェッショナル」です。

家を売ったり買ったりするのは非常に大きなお金が動きますよね。おそらく、一生のうちでもっとも大きな買い物になるでしょう。

そのような不動産取引を、お客さんが安心して進められるようにアドバイスし、サポートするのが宅建士の仕事です。

フドー先生
宅建士にしかできない「3つの仕事」があるんだ。
  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書 ?への記名・押印
  • 37条書面(契約書) ?への記名・捺印

これらは、契約に関わる非常に重要な業務です。宅建士の資格を取得した者こそが、信頼するに値する「不動産取引のプロ」なのです。

宅建士についての詳細は宅建士の用語ページをごらんください。

不動産会社の社員のすべてが宅建士とは限らない

「不動産取引のプロ」の証である宅建士ですが、不動産会社に務めるためにその資格が必須というわけではありません。

宅建士ではない社員も不動産会社に存在します。経営者が宅建士である必要もありませんし、それは違法ではありません。

モモコさん
じゃあ、宅建士が1人もいない不動産会社もあるってこと?
フドー先生
それはないよ。宅建業を営むには、最低でも1人は宅建士がいることが条件になっているからね。

「従業員5人のうち、1人は宅建士を置かなければいけない」ということが、宅建業法 ?により定められています。

もし不動産会社に宅建士がいなければ、お客さんは安心して依頼できないですよね。そのようなことが起きないように、従業員の5人に1人は宅建士を設置しなければいけないことになっているのです。

言い方を変えると、従業員が5人の会社だったら4人は宅建士である必要がないということです。従業員が20人だったら、16人は宅建士である必要がないのです。

モモコさん
そうなると、宅建士じゃない人が担当につく可能性が出てくるね。
フドー先生
そうだね。ちなみに、大手不動産会社のほうが「従業員における宅建士の割合」が高い傾向にあるよ。

担当者が宅建士じゃなかったらどんなことが起こる?

モモコさん
じゃあ、もし担当者が宅建士じゃなかったら、どんなことが起きるの?
  • 間違った知識で話される
  • 連絡や反応が遅くなる
  • 強引な契約を迫られる

間違った知識で話される

不動産取引をトラブルを起こすことなく円滑に進めるためには、さまざまな知識を身につけておく必要があります。

特に法律においては、宅建業法や民法をはじめとしたさまざまな法律が絡んでくるため、正しい知識を身につけた担当者と組む必要があります。

そんな中、法律の知識の乏しい「無資格」の担当者とやりとりをすると、誤った知識を植えつけられる可能性があります。

モモコさん
うわ、それは困るね。担当者に言われたらなんでも信じてしまいそう。
フドー先生
宅建士の資格を持っていない営業マンは、持っている人に比べて確実に知識が少ないと言えるよ。

「実務経験があれば、宅建士の資格がなくても家を売れる」などという人もいますが、鵜呑みにしてはいけません。

たしかに宅建士でなくても不動産取引はできますが、「お客さんのために正しい知識を身につけよう」という意識を持ったまっとうな営業マンなら、真っ先に宅建士の資格を取得するはずなのです。

モモコさん
知識だけじゃなく、意識にも違いが見られるね。
フドー先生
宅建士の資格を持っているということは業界内におけるステータスであり、信頼の証でもあるからね。

連絡や反応が遅くなる

たとえば、不明なことがあって質問しても、宅建士の資格を持っていない担当者だと知識不足で答えられない場合があります。

「上の者に確認するのでお待ちください」といった感じで、ワンクッション挟む形になってしまいます。

モモコさん
質問に対する答えは早く知りたいよね。

このワンクッションが非常に時間の無駄になりますし、非効率です。もどかしさも覚えるでしょう。

返事が遅くなるだけではなく、そのまま返事が返ってこない・・・なんてことにもなりかねません。そのようなことが続くと信頼関係も崩れていき、取引どころではなくなってしまいます。

フドー先生
もし担当者が宅建士の資格を持っているなら、どんな質問に対してもその場で即答してくれるだろうね。

丁寧に応対はしてくれたんですけど担当についたスタッフの方が宅建士の資格を持ってなく、契約に関する説明を受けるときには違うスタッフの人が出てきて説明をされました。

なので、何か聞いてもその場で解答がなく調べて後日連絡ということが何回もあって中々事が進まずイライラしてしまいました。

【不動産売却体験談】売却に関する勉強不足で後悔する結果に・・・

強引な契約を迫られる

宅建士の資格を取得した人は、営業に対する姿勢が改まることが多いようです。

「利益が取れれば良い」という姿勢から、「お客さんのために」という姿勢に変わっていきます。

フドー先生
正しい知識をつければつけるほど、お客さん側の立場に近くなっていくんだね。

逆に、宅建士の資格を持っていない営業マンは、お客さんの視点を持つことができず、ゴリ押しで契約にこぎつけようとする傾向があります。

「契約を取りたい」という気持ちが強いため、急かされ、焦らされてしまいます。そのような担当者がついてしまっては、思い通りの取引なんてできるわけがありません。

「お客さんが満足するためには、どうするべきか?」「もっと良い方法はないか?」そのように考えてくれるのは、宅建士の資格を取得した営業マンなのです。

フドー先生
まあ、宅建士のすべてが善良とは言い切れないけどね。
モモコさん
最低でも、宅建士である必要はあるってことか。

【不動産売却体験談】「知識と経験が乏しい担当者」記事一覧

まとめ

  • 宅建士とは「不動産取引のプロフェッショナル」
  • 不動産会社の社員のすべてが宅建士とは限らない
  • 宅建士じゃない人が担当につく可能性がある
  • 大手不動産会社のほうが「従業員における宅建士の割合」が高い
  • 担当が宅建士じゃないと間違った知識で話される
  • 担当が宅建士じゃないと連絡や反応が遅くなる
  • 担当が宅建士じゃないと強引な契約を迫られる

宅地建物取引業(たくちたてものとりひきぎょう)

不動産を扱う業務の名称です。宅建業(たっけんぎょう)と略されます。

宅地建物取引業の内容
  • 不動産の売買
  • 不動産の売買の仲介・代理
  • 不動産の貸借の仲介・代理
宅地建物取引業を営む会社を宅地建物取引業者(たくちたてものとりひきぎょうしゃ)と呼びます。宅建業者(たっけんぎょうしゃ)と略されます。

「宅地建物取引業」の詳細を見る
宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし)

不動産の売買・賃貸の仲介(宅地建物取引業(宅建業))をおこなうプロフェッショナルです。宅建士(たっけんし)と略されます。

宅地建物取引業法(宅建業法)に基づき定められている国家資格者です。

宅建士にしかできない3つの仕事
  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名・押印
  • 37条書面(契約書)への記名・押印
「宅地建物取引士」の詳細を見る
重要事項説明書

取引をする不動産や取引条件に関する「重要事項」について記載された書面です。

購入予定者に対し、不動産会社は契約前に重要事項説明書を交付したうえで、重要事項についての説明をおこなう必要があります。

契約をする前に対象不動産や取引条件について十分に理解・納得することを目的としています。
37条書面

不動産取引の契約が成立したあとに、宅建業者がお客さんに交付しなければいけない書面です。

買主と売主の間で取り決めた約束事について確認しあう「契約書」です。

37条書面の交付は、宅建業法第37条の規定に基づき義務づけられています。37条書面には、宅建士による記名・押印が必要です。

「37条書面」の詳細を見る
宅地建物取引業法(たくちたてものとりひきぎょうほう)

不動産取引をおこなううえで、不動産会社(宅地建物取引業者)が守らなければならない法律です。宅建業法(たっけんぎょうほう)と略されます。

不正な取引をおこなう宅建業者から消費者を守るために定められた法律です。

「宅地建物取引業法」の詳細を見る