成約価格

成約価格(せいやくかかく)とは、不動産の売買をおこなった価格です。「取引価格」「売却価格」ともいいます。

売主と買主の間で合意した、最終的な取引の価格になります。

「この価格で取引しました」という証明として、売買契約書に記載されます。

売り出し価格との違い

モモコさん
売り出し価格と成約価格は、どうちがうの?
フドー先生
不動産売却の話をするときには、いろんな価格が登場するからね。違いをしっかりとおさえておこうね。
売り出し価格 ?は、売主が希望する「売れてほしい価格」です。売主が「この価格で買ってくれる人がいたらいいな」と考え、一番最初に物件につける価格です。

成約価格は「最終的に売買をおこなった価格」です。売り出し価格よりも低くなることが一般的です。

成約価格は売り出し価格より低くなる

モモコさん
なんで売り出し価格より低くなるの?
フドー先生
売り出し価格の通りに売れるとは限らないからね。

売り出し価格をつけて物件の販売を開始したとしても、そのままストレートに取引に至ることは滅多にありません。

実際には物件が売れるまでにさまざまなことが起き、価格調整をせざるを得なくなるでしょう。

では、どのような状況で価格調整をすることになるのかを説明しますね。

買主が現れないとき

まずひとつ目は、「買主(購入希望者)現れなかったとき」です。

売主が売り出し価格をつけて物件の販売をスタートさせ、買主(購入希望者)が現れるか様子を見ます。

その結果、見事「買いたい!」という人や「訪問させてください!」という人が現れれば、次のステップに進むことになります。

ですが、購入希望者が現れなかったときは・・・値段をいくらか下げて、さらに様子を見ることになります。

このように、購入希望者が現れるまで、値下げをしながら様子を見るということを繰り返します。

モモコさん
売り出し価格が高すぎることが原因だったら、値下げするのが賢いよね。
フドー先生
そうだね。売り出し価格が相場より高すぎると、見向きしてもらえないからね。
フドー先生
だから適切な売り出し価格を設定しないと、どんどん値下げをすることになるよ。

買主が値下げを要求したとき

成約価格が売り出し価格より低くなるもうひとつのケースは、「買主(購入希望者)が値下げを要求したとき」です。

たとえ、値下げをせずに売り出し価格のままで購入希望者が現れたとしても、そこから「価格交渉」に入る場合があります。

たとえば、物件を見学した買主から「ちょっと高いなあ。200万円下げてくれたら買うんだけどなあ」という要望を受けたとしましょう。

売主は、200万円の値下げをするべきか検討します。「150万円までなら、下げられるんだけどなあ・・・」

そして、それを受けた買主が「仕方ない。150万円の値下げで買いましょう!」となり・・・

これで、お互いが納得する価格が決まりましたね。これが成約価格になります。

「売り出し価格=成約価格」のケース

モモコさん
なるほど。成約価格が売り出し価格より低くなる理由がわかった。
モモコさん
じゃあ、もし売り出し価格で購入希望者が現れて、価格交渉が起きなければ、「売り出し価格=成約価格」になるということ?
フドー先生
そうだね。

理屈だけでいうと、上記の2つのケースに当てはまらなければ、「売り出し価格=成約価格」ということになります。

ですが実際の現場では、そううまくいきません。なんらかの形で値下げや価格交渉をおこなう場面に出くわすものです。

「成約価格は売り出し価格よりも下がるものだ」ということを念頭に置いておくことは、売却戦略や売り出し価格を決定するさいのガイドになります。

査定をする際の参考になる

成約価格は、不動産会社が査定 ?をおこなうときに参考にする、重要なデータでもあるんです。

売り出し価格や販売価格を参考にするんじゃなくて、実際に売主と買主の間で取引された価格である「成約価格」を参考にするんです。

モモコさん
不動産会社は、成約価格をどうやって調べるの?
フドー先生
REINS(レインズ)を使うんだよ。
REINS ?には、全国のさまざまな不動産の成約価格が登録されています。

「〇〇という物件が、いつ、どこで、いくらで取引された」といったデータをREINSより引き出し、そのデータを参考にして査定をおこないます。

このように過去の成約価格を参考にして、不動産を評価する方法を取引事例比較法 ?といいます。

フドー先生
ただし、この方法はざっくりとした査定しかできないけどね。

取引事例比較法を用いた簡易的な査定を机上査定 ?といい、それに加えて実際に物件を訪問して本格的に査定をすることを訪問査定 ?といいます。

まとめ

  • 成約価格は売り出し価格より低くなる
  • 買主が現れないと売り出し価格より低くなる
  • 買主が値下げを要求することで売り出し価格より低くなる
  • 「売り出し価格=成約価格」のケースもある
  • 査定をする際の参考になる
売り出し価格(うりだしかかく)

不動産を売るときに一番最初につける価格です。

査定価格をベースに、売主の「いくらで売りたい」といった希望や「早く売りたい」「高く売りたい」といった方針などと照らし合わせながら決めます。

「売り出し価格」の詳細を見る
不動産査定(ふどうさんさてい)

その物件が「いくらで売れるか」を不動産業者に予想してもらうことです。

物件のスペックや状態、過去の取引事例や市場の動きを参考にして算出します。

不動産査定の方法には、机上査定訪問査定の2種類があります。

不動産査定をおこなって算出した価格、つまり「いくらで売れるか」を予想した価格を査定価格といいます。

「不動産査定」の詳細を見る
REINS(レインズ)

不動産会社同士が物件の情報をやりとりするための、コンピュータネットワークシステムの名称です。

売主・買主ともに、安心して不動産取引がおこなえることを目的としています。

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取引事例比較法(とりひきじれいひかくほう)

不動産査定をおこなう手法の一つです。

「売りたい不動産と同じような不動産」の過去の取引事例と比較することで、「売りたい不動産」の価格を査定する方法です。

「取引事例比較法」の詳細を見る
机上査定(きじょうさてい)

不動産査定の方法のひとつです。

仲介業者が物件を訪問することなく机上だけでできる査定方法であり、短時間で算出することができます。

「机上査定」の詳細を見る
訪問査定(ほうもんさてい)

不動産査定の方法のひとつです。

業者が実際に物件に立ち寄って調査する査定方法であるため、時間はかかりますが査定の精度は高くなります。

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