売り出し価格(うりだしかかく)は、不動産を売るときに一番最初につける価格です。
査定価格 ?をベースに、売主の「いくらで売りたい」といった希望や「早く売りたい」「高く売りたい」といった方針などと照らし合わせながら決めます。売り出し価格はとても重要
売り出し価格は、物件を売るときに一番最初に設定する価格です。
売却戦略を立てる上で、この価格をどのようにつけるかは非常に重要になってきます。
相場や市場の動きを把握し、適切な売り出し価格をつけないと売れる物件も売れなくなってしまうからです。
では、売り出し価格の大切さを理解しやすいように、「相場を無視した価格」をつけてしまうとどうなるのかを見ていきましょう。
売り出し価格が相場より高すぎる場合
物件を高く売りたいからといって、高い売り出し価格を設定してはいけません。
自分が良いと思っている家でも、果たして他人が良いと思うかどうか・・・はわかりませんよね。
売り出し価格をつけるときは、主観や個人的な思い入れを排除して「相場と比べていくらにするか」が大事です。
たとえば、Aマンションに住んでいる人が「このAマンションはこんなに住みやすいんだから、4000万円の価値がある!」と思い、4000万円の価格をつけて売り出したとしましょう。
でも、もし周辺にAマンションと同じグレードのBマンションやCマンションやDマンションが、3000万円で売られていたとしたら?
どっちのマンションが売れるでしょうか?
そうですよね。BやCやDのような「Aと同じグレードのマンション」が3000万円でたくさん売られていれば、人々の意識は「あのグレードの中古マンションの今の相場は3000万円だよね」ということになるのです。
このような状況では、売主にとっては4000万円の価値があると思っているAマンションは、世間からすると「高すぎる」となるのです。
売り出し価格が相場より低すぎる場合
相場より高すぎる売り出し価格をつけるのも問題ですが、だからと言って低すぎるのも問題です。
安く売り出すと、たしかに売れる確率は上がるでしょう。「3000万円が相場のマンションが2000万円で売られている!」と注目されますよね。
「これはお買い得だ」とばかりに、2000万円で即買ってくれる人が現れたとしましょう。
でも、売れたその後・・・売主はどう思うでしょうか。きっと、「もっと高く売れたのでは?」と後悔することになると思いませんか?
ひょっとすると2500万円でも「お買い得だ」と思う人が現れたかもしれないし、相場通りの3000万円でも売れたかもしれないですよね。
相場よりあまりにも低すぎる売り出し価格をつけてしまうと、このように「損をしてしまう」かもしれませんし、売ったあとで「損をしてしまったのではないかという後悔」をしてしまうかもしれません。
売り出し価格の決め方
売り出し価格は、査定 ?をしてもらった仲介業者と相談して決めることになります。
まず業者に査定をしてもらい、査定価格を算出します。査定価格は、正しい方法でおこなえば、相場を意識した現実的な「売れるであろう価格」になります。
この「査定価格」と「売主の希望売却価格」と「最低ラインの価格」をすり合わせて、売り出し価格を決めます。
- 査定価格を算出する
- 希望売却価格と最低ラインの価格を決める
- 査定価格を叩き台にしてすり合わせる
この手順を踏むことにより、不動産会社が判断した現実的な「売れるであろう価格(査定価格)」の範囲内で、できるかぎり売主の希望を反映した売り出し価格を設定することができるようになります。
詳細はこちらの記事をごらんください。

売り出し価格は「売れる価格」ではない
売り出し価格は、あくまでも「最初の価格」であって、その価格で売れるということを保証するものではありません。
購入希望者が現れなければ、値下げをしないといけないでしょう。また、もし購入希望者が現れたとしても、成約をするためには相手と価格交渉をしなければいけないこともあります。
物件の売却に至るまでは、状況に合わせて価格の調整をおこなうことは避けられません。
売り出し価格は売却戦略の要
売り出し価格を適当に設定すると、痛い目にあいます。
物件を思い通りに売却するためには、スケジュールを組んで売却戦略を立てる必要があります。
「どのタイミングで値下げをするか?」「どれぐらいの値下げをするか?」などの売却戦略・スケジュールを立てるために、しっかりと売り出し価格を設定する必要があります。
売却ステップの一番最初である売り出し価格をきちんと設定しないと、その後の戦略を立てられないのです。