コーポラティブハウスのトラブルの事例。どんなデメリットがある?

松山ケンイチ、深田恭子が主演のドラマ「隣の家族は青く見える」
楽しそう
その一方、複数の家族が一緒になって住むって、トラブルが起きるんじゃない?人間関係とかいろいろと面倒臭さそう
トラブルが起きたらどう対処するの?

コーポラティブハウスとは

コーポラティブハウスとは、住みたい人同士が共同で土地を購入し、建設する家のことをいいます。

住民同士で組合を結成し、事業者となって集合住宅を建てるのです。

モモコさん
組合?

普通は、家を建てるとなると施工会社や建築会社と打ち合わせをするために「ディベロッパー」と呼ばれる大規模な土地開発者を通すことになります。

コーポラティブハウスの場合は、ディベロッパーを通しません。コーポラティブハウスに住む人たちが結成した「組合」がディベロッパーに代わって、家を建てる計画を進めていくことになります。

「コープ住宅」とも呼ばれます。(cooperative)は「共同の」「組合の」

コーポラティブハウスの特徴を見ていきましょう。

自由に設計することができる

コーポラティブハウスは、入居希望者で好きなように設計することができる
マンション(集合住宅)なのに、戸建てのように自由に設計ができる注文住宅
中庭などの共用部分まで設計できるという部分は、戸建を設計するのとはまた違う楽しみ

モモコさん
ドラマ「隣の家族は青く見える」でも、中庭でバーベキューとかやってたね。
「間取りに合わせて暮らし方を変える」のではなく、「ライフスタイルに合わせて間取りをデザインする」
もちろん、間取りだけでなく床や壁面、窓の形に至るまですべて自由に設計できる
螺旋階段
中庭
大きな窓
モモコさん
マンションのデザインや間取りって、自分たちで考えることができないもんね。

利便性の高い土地を低価格で買える

コーポラティブハウスの戸数は一般的に10戸から20戸になります。
つまり、コーポラティブハウスにふさわしい土地としては、
分譲マンションとしは小さすぎる土地
価値はあるけどニーズが少ない土地 ということになります。 そのような土地を住民同士が共同で購入することで、一人あたりの出費を抑えることができます。

フドー先生
ほどよい大きさと価値のある土地を、共同で買えるんだ。
モモコさん
戸建を買うときみたいに、高い土地代を支払う必要もないんだね。

コストの透明化

ディベロッパーを通さないため、価格を抑えることができる
ディベロッパーを通した場合、広告費やディベロッパーの利益分なども上乗せされた金額を支払う必要がある
たとえば、新築マンションを売り出すときにはモデルルームをつくったりしますよね。そのためにかかる費用なども、上乗せされているのです。

モモコさん
え、モデルルームの費用も上乗せされているの!?
他にもガンガンと大規模な広告を出して宣伝をおこないます。それらの費用も、新築分譲マンションの費用の一部になっているのです。 コーポラティブハウスの場合はディベロッパーを通さないため、それらの金額が不要になるのです。
フドー先生
いわゆる「中間経費」を省けるから、安くなるというわけだ。
どのようなことにお金がかけられているのかが透明化される

良好なコミュニティが築かれる

住宅を建てる前から住民同士が集まって共同作業をおこなうため、自然と一体感や親近感が築かれます。
設計の打ち合わせや総会などで何度も顔を合わせるため、入居する頃にはお互いの顔や人となりがわかった状態になっています。 それゆえに、良好なコミュニティができあがりやすいのです。

モモコさん
ご近所付き合いが希薄な現代では、珍しいことだね。
フドー先生
マンションのお隣さんの顔も知らないという人も多いからね。
ドラマ「隣の家族は青く見える」でも、中庭で住民同士が楽しそうに交流する姿が描かれていますね。

コーポラティブハウスの住民間のトラブル

コーポラティブハウスはお互いの顔を知ったうえで住んでいるので、コミュニティができていてトラブルが起きにくい一面がありますが、それは人によるでしょう。
長く付き合っていくうちに人間関係が悪化したりトラブルが起きたりすることだって想定されます。 これはなにもコーポラティブハウスに限った話ではありませんが、長く良好な関係を維持するためには付かず離れずの距離が必要なのかもしれません。

住居をどこにするか

ひとつの建物の中で「どの家族がどこに住むか」を決めないといけませんが、ここで揉めることがあるようです。
「南向きがいい」「2階じゃないといやだ」など、部屋の位置や方角、階数などの好みがバッティングすると、簡単に決めることができません。
新築の分譲マンションなら、早いもの順に住居を取ったもの勝ちですが、コーポラティブハウスの場合は全員で一斉に「よーいドン」なので、部屋取り合戦になってしまいます。

建物内でトラブルが起きたときの責任

全員で相談して決めないといけない
そもそも「コーポラティブハウスに住む」と決めた人というのは、自分の意見や主張をはっきりと持っている人 なので、「○○さんに任せておけばいいわ」とならず、意見のぶつかり合いになることも

コーポラティブハウスは完成まで時間がかかる

住民同士が意見を出し合って自由に設計できるコーポラティブハウスですが、完成までには1年〜2年かかることが多いようです。

モモコさん
そんなに時間がかかるの!?
コーポラティブハウスの業者が参加者を募集し、組合を結成するところからスタートさせるので、どうしても時間がかかってしまうのです。 また、住居者の数が多ければ多いほど、それぞれの意見をまとめるための時間も必要になってきます。
自由に設計できるゆえに、住民全員が納得できる妥協点などを探るのは大変な作業になります。
モモコさん
こだわりが強い人がたくさん集まると、大変そうだね・・・。
コーポラティブハウスが完成するまでの流れをみていきましょう。

コーポラティブハウスが完成するまでの流れ

1.自由設計(約6ヶ月)

土地の選定・事業計画 コーポラティブハウスの業者が土地の選定、事業計画をおこないます。 コンセプトや戸数、予算、面積などを決めます。
参加者の募集 コーポラティブハウスに参加したい住民を募集します。
建設組合の結成 購入希望者が集まれば建設組合を結成します。施工や建築の発注は、この組合を通しておこなわれます。
設計
設計者を交えて、住民同士で意見を出し合って設計していきます。
専有部分のデザインは各住居ごとに設計できますが、共用部分は住民同士の意見をまとめる必要があります。
土地取引 コーポラティブハウスを建てる土地を共同で購入します。

2.工事(約12ヶ月)

土鎮祭・工事着工 無事に工事がおこなえるように、土鎮祭をおこなってから工事着工します。
現場管理 設計者が工事の進捗状況をチェックし、住民に報告します。
上棟(じょうとう) 屋根の一番上の部材を取り付けることを上棟といいます。
躯体内覧会
躯体(建築物を支える骨組み)の状態での内覧会をおこないます。
工事をおこなっている人と話をする機会をつくれるかもしれません。
総会 建物の名称を決めたり、管理の方法などを決めるための会合を、この期間内に数回開きます。

3.竣工(約1ヶ月)

竣工 工事完了です。
引き渡し・入居 入居します。引き渡しとともに、建設組合は解散となります。

コーポラティブハウス建設中のトラブル

コーポラティブハウスの建設中に、さまざまな予期せぬトラブルが起こる可能性があります。
工事費用の急騰
工事中への近隣への対応
地中障害
台風や地震などの自然災害 これらのトラブルが重なると、計画を進めることが難しくなってしまい、計画自体がなくなってしまう可能性も出てきます。

建設組合が自ら責任をとらなければいけない

予期せぬトラブルで建設の計画がなくなってしまうことは、ふつうの分譲マンションや戸建の場合でも起こりえます。
問題は、その際の「責任」についてです。

モモコさん
責任?
ふつうの分譲マンションはディベロッパーが事業責任を負うため、事業でトラブルが起きたり途中で計画が頓挫しても住人は責任を負う必要はありません。 ですが、コーポラティブハウスは住民同士で結成した建設組合が事業主になるので、トラブルの際には自分たちで責任を負う必要があるのです。
フドー先生
問題が起きればコーポラティブハウスの事業会社がサポートしてくれるだろうけど、あくまでも主体者は住民の建設組合なんだ。

建設組合から人が抜ける場合

コーポラティブハウスが完成して住めるようになるまで1〜2年かかるため、途中で建設組合を抜けたい人が現れる場合もあります。

フドー先生
完成するまでに、住む気がなくなっちゃたりね。
途中で抜けられてしまうと、残りの住人同士で穴埋めをする必要が生じてしまうので、基本的には「抜けない」ということが決まりです。 やむを得ない理由で脱退する場合は、組合の中で取り決めた違約金を払い、代わりの入居希望者を探すなどをして対処することになります。
モモコさん
1〜2年も気長に待つのは難しそうね・・・。他の家に目移りしちゃいそう。

コーポラティブハウスを売るときのトラブル

コーポラティブハウスの大きなデメリットのひとつに、「売れにくい」ということが挙げられます。
売れにくい理由について、ひとつずつみていきましょう。

土地の利便性が低い

コーポラティブハウスは「価値はあるけどニーズが少ない土地」に建てることが多いので、立地としてはイマイチだったりします。 たとえば駅から離れていたり、都心から離れたエリアだったりするわけです。 そのような場所で共同で出費するからこそ、土地を安く買ってその分こだわりのデザインにお金をかけることができたわけですが、売却するとなるとそのエリアに住みたい人が少ない可能性があるのです。

フドー先生
タワーマンションが建つような都心に建てることは少ないからね。

過剰なカスタマイズ

「自由な設計」がウリのコーポラティブハウスですが、売却する際にはそれがアダとなることがあります。 そもそも、自由に設計したその家にニーズがあるかどうかは別問題だからです。
極端に個人の趣向に偏ったカスタマイズをおこなってしまうと、買い手がつきにくくなってしまう恐れがあります。 そうなると、査定価格も安くなりますし高く売ることが難しくなってしまいます。

フドー先生
ある意味、無難なデザインや間取りのほうが万人向けでニーズが高いからね。
モモコさん
売るときのことを考えて設計するのもアレだし、難しいね・・・・

売り出し価格が高くなる

コーポラティブハウスは建築にお金がかかるので、ニーズの割に高い価格をつけて売らなければいけない状況になりがちです。

モモコさん
え、でも低価格で建てられるのがメリットだったんじゃないの?
たしかにコーポラティブハウスは建てるときにディベロッパーを通さない分、中間経費を省くことができるのですが、その浮いたお金をデザインやこだわりの部分に費やして建てることが多くなります。
フドー先生
つまり、建物やパーツ自体にはふんだんにお金をかけるわけだ。
それに、コーポラティブハウスは分譲マンションに比べて小規模になるため、調度品が割高になってしまうことも理由のひとつです。

近所付き合いがネック

買主は、すでにできあがっているコミュニティの中に入ることになってしまいます。ここに抵抗感を覚える人も多いでしょう。
「それでもいいから、コーポラティブハウスに住みたい!」という人が、どれだけいるのかはわかりません。
住む前にどのような人が住んでいるのかも気になるでしょうし、それを確認するのも手間ですよね。

モモコさん
そもそも、面倒臭い近所付き合いを避けたい人は、コーポラティブハウスを選ばないだろうし。
フドー先生
「近所付き合い」がオプションで付いてくる家・・・ということになるね。

コーポラティブハウス業者を紹介

コプラス ドラマ「隣の家族は青く見える」の撮影協力もおこなっている