家を売るとき、居住中と空き家とでは、どっちが売りやすい? | ![]() |
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「空き家のほうが売りやすい」って聞くけど、本当? |
家を売却するときに、「居住しながら売る」のか「空き家にしてから売る」のか、どっちを選べば良いのか?という悩みがありますよね。
今住んでいる家を確実に売るためには、空き家にしないといけないのか?
でも、そのためには新居を先に探すか、仮住まいを探さないといけない。
そんな手間や時間をかけてまで、空き家にするべき?それとも、居住しながらでも売れる?
ここでは、そのような悩みに答えるべく、「居住中」と「空き家」でのそれぞれの売却の特徴と、選び方の基準について説明します。
目次
居住中でも空き家でも売ることができる
結論から言うと、居住中でも空き家でも売れます。
どちらを選択するのかによって、売却活動の内容に違いが出てきます。特に内覧 ?のときに大きな違いが生じます。
「居住中での内覧」と「空き家での内覧」にはそれぞれ異なるメリットがあり、自身にふさわしいほうを選択することが重要です。どちらが良いのかはケースバイケースです。
買主目線で考えると空き家のほうが内覧の日程を決めやすく、気兼ねなく見学できるので購入意欲が湧きやすいというのは事実です。
それに、空き家の方が不動産会社としてもお客さん(買主)に喜ばれるので紹介しやすいということもあります。
そのような事情もあって「空き家の方が売りやすいし売れやすい」ということは、たしかに言えます。
ですが、だからと言って必ず空き家にしないと売れないということではありません。むしろ、居住中のほうが売りやすいというケースもあります。
「居住中での内覧」と「空き家での内覧」の特徴やメリットを理解し、自分にふさわしいと思う方を選択すれば良いでしょう。
「居住中での内覧」のメリット
まずは、「居住中での内覧」のメリットについて見ていきましょう。
- 買主が抱いている悩みに直接答えられる
- 生活感をイメージさせやすい
- 床や壁の傷などの見せたくない部分を隠せる
買主が抱いている悩みに直接答えられる
まず、居住中の内覧は売主と買主が接触することになります。
これは、「売主の話を聞きたい」と考えている買主にとってはメリットです。
その物件のことを一番よく知っているのは、不動産会社ではなく実際に住んでいる売主です。
- 隣や上に住んでいる人はどのような人か?
- 過去にマンション内でどんなトラブルが起きたか?
- 住み心地はどうか?
このような、広告を見ただけではわからない情報を得たいため、売主と直接会って話を聞きたいという人がいるのです。
質問に答えてあげて、買主が抱いている悩みを解消することができれば、購入してくれるかもしれません。これは売主にとっても大きなメリットです。
生活感をイメージさせやすい
居住中の内覧はテーブルやソファーなどの家具、テレビや冷蔵庫などの家電が置かれている状態を見学することになるので、生活感をイメージさせやすくなります。
買主にとっては「もし自分が住んだら・・・」「テーブルをこの部屋に置いたら・・・」などと、実際に住んだときの部屋を想像しやすくなります。
それを期待して、居住中での内覧を希望する買主もいます。そのような人にとっては大きなメリットになります。
しかし、買主に良いイメージを与えられるかは売主次第です。家具の配置や清掃の度合いによっては、悪印象を与えることにもなりかねません。
生活感を出すと言っても、ごちゃごちゃとして散らかっていれば引かれてしまいます。
きちんと清掃し、清潔にして家具の配置なども工夫すれば、空き家以上に魅力的な部屋として見せてあげることができるでしょう。
床や壁の傷などの見せたくない部分を隠せる
長年住んでいると、床や壁を傷つけてしまうこともあるでしょう。丁寧に気を遣っていたとしても、ところどころに目立つ傷が出てくるものです。
- 壁紙の汚れ
- 日光による変色
- クロスのはがれ
- 床の傷や凹み
居住中の内覧であれば、そのような「見せたくない部分を家具などで隠せる」というメリットがあります。
空き家にしていると、ハウスクリーニングでもしていない限り傷や凹みが露わになって目立ってしまいますが、居住中の内覧ではそれらを隠すことができます。
「空き家での内覧」のメリット
続いて、「空き家での内覧」のメリットについて見ていきましょう。
- 細かい部分までくまなく見学できる
- 内覧の日程を決めやすい
- 売主がわざわざ立ち会う必要がない
- 内覧のたびに清掃をする必要がない
細かい部分までくまなく見学できる
空き家での内覧は、買主にとって「細かい部分をしっかりと見学できる」というメリットがあります。
居住中の内覧だと、本当は心ゆくまで時間をかけて細かいところをチェックしたくても売主の目を気にしてしまいます。
キッチンやトイレ、お風呂などの水回りなどを念入りにチェックしたくても、居住中の家ではなかなかできませんよね。
また、押入れやクローゼットなども、服や荷物がいっぱいで隅々まで確認することができません。
売主にとってはデメリットになる可能性もあります。
たとえば、細かい部分をチェックされたがゆえに、購入に結びつかないことになるかもしれません。
下手に空き家にしてさらけ出すぐらいなら、見せたくない部分を家具などでうまく隠すことによって、魅力的な物件を演出するほうがいいでしょう。
内覧の日程を決めやすい
居住中の内覧だと、売主の都合の良い時間に合わせないと見学できません。売主はその家に住んでいるのですから、当然ですよね。
ですが空き家の内覧では売主の都合を気にすることなく、日程を決めることができます。わざわざ二者の間で調整する必要がないのです。
買主からすると、良い物件を見つけたのなら早く見に行きたいでしょう。そんなときに内覧の日程が決まらなければ、他の誰かに取られるのではないかと不安な気持ちになってしまいます。
いつまで経っても内覧の日程が決まらなければ、あきらめて他の物件をあたるかもしれません。そうなると、売主にとっては見込み客を逃してしまうことになります。
空き家での内覧なら、買主は不動産会社に問い合わせて、不動産会社と都合を合わせるだけで内覧の日程を決められます。
売主がわざわざ立ち会う必要がない
もし「内覧のたびに立ち会うのが面倒臭い」という人にとっては、空き家での内覧のほうがラクでしょう。
買主と不動産会社だけで内覧をおこなうことになるので、売主がわざわざ出向く必要がありません。
内覧のたびに清掃をする必要がない
居住しながら売り出している場合、内覧のたびに家中を清掃しなければいけません。
ですが空き家の場合だと、常にキレイなので放置で大丈夫です。
ただし、空き家にするのであればハウスクリーニングを施しておく必要があります。そうでないと壁や床の傷が目立つことになります。
タンスで隠れていた壁が変色していたり傷があるなどということは、意外に多くあります。下手に部屋を空っぽにするより、家具で隠しておいたほうがキレイに見える場合もあるのです。
ハウスクリーニングの費用などを支払う余裕がある人にとっては、「わざわざ清掃をしなくていい」というメリットになるでしょう。
ケース別に見る「どっちを選ぶべき?」
「居住用での内覧」と「空き家での内覧」のメリットをご紹介してきました。ここで、それぞれの「売主にとってのメリット」と「買主にとってのメリット」がわかりやすいように、表にまとめてみましょう。
居住中での内覧 | 空き家での内覧 | |
---|---|---|
売主にとってのメリット |
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買主にとってのメリット |
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さて、これを踏まえた上で、どんな人が「空き家での内覧」に向いていて、どんな人が「居住用での内覧」に向いているのかを説明しましょう。
「居住中での内覧」はこんな人にオススメ
- 資金に余裕がない
- トラブルを防ぎたい
- 隠したい傷や汚れがある
- 話術に自信がある
- インテリアコーディネートに自信がある
資金に余裕がない
一般的に、住み替えのための資金がない人は資金計画を立てやすい売り先行 ?で進めることになります。
「売り先行」で住み替えを進める場合は、現在の家に住みながらの売却活動になるので自動的に「居住中での内覧」になります。
そのような場合は仮住まいをする必要があります。しかし仮住まいをするとローンの支払いに加えて賃料まで支払うことになります。
仮住まいができるほど資金に余裕があるなら買い先行 ?で進めた方が合理的でしょう。
トラブルを防ぎたい
内覧に立ち会って買主とコミュニケーションを取ることで関係性ができるので、「取引後のトラブルが起こりにくくなる」という効果が見込めます。
引き渡し後にもし何らかの不具合があったとしても、どんな人から買ったかということがわかっているだけで、対応は変わるものです。
隠したい傷や汚れがある
壁や床に傷が多かったり、見られたくない部分が多い場合は、家具や家電で隠した方が部屋をきれいに見せることができます。
空き家にすると汚い部分が露出してしまいますし、それらを一掃するためのハウスクリーニングもお金がかかります。
お金をかけずに部屋をキレイに見せたいなら、家具や家電で上手に隠してしまいましょう。
話術に自信がある
- 買主にとってありがたがられるような、有益な情報を持っている
- 住みたいと思わせられるような情報を持っている
- 立ち会って直接話すことで良い印象を与える自信がある
このような人は直接買主と顔を合わせることで、購入意欲を高めることができるでしょう。
実際に住んでいる売主だからこそ伝えられる情報があるはずです。
インテリアコーディネートに自信がある
テーブルやソファーやカーテンなど、おしゃれなものを揃えていて配置やコーディネートに自信があるなら、空き家にするよりも魅力的に見せることができるでしょう。
「空き家での内覧」はこんな人にオススメ
- 資金に余裕がある
資金に余裕がある
「空き家での内覧」をオススメできるのは、資金に余裕がある人です。まずこれが大前提になります。
いくら「内覧に立ち会うのが面倒臭い」「内覧のたびにわざわざ部屋を掃除するのが面倒臭い」と言っても、お金がないと空き家にすることすらできないからです。
「空き家での内覧」をおこなうには、2通りの方法があります。
- 仮住まい先に引っ越して空き家にする(売り先行)
- 新居に引っ越して空き家にする(買い先行)
いずれを選択するにしても、お金がかかります。お金をかけることができる人にだけ「空き家での内覧」という選択肢を持つことができるのです。